症例 QRS波形正常の第II度両脚ブロック

心電図上,ヒス束分岐部以下両脚に及ぶ伝導障害が予想されるにもかかわらず,QRS時間正常の第II度房室ブロックを示す症例を報告した.症例は64歳の男性で3年前より軽度の高血圧を指摘されている以外には特別既往症はない.今回は眩量を主訴に入院した. 心拍(頻拍)依存性左脚ブロックとMobitz II型右脚ブロックの共存の結果,1:1伝導時のQRS波形は左脚ブロックを伴うが,第II度右脚ブロックにより心室拍数が減ずると,伝導時に左脚の伝導性も改善しQRS波形の正常化がみられたものと思われる. 主な病変部位としては,PR時間一定の交代性脚ブロック,QRS電気軸正常の左脚ブロック,左脚主幹部起源の補充調律...

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Published in心臓 Vol. 9; no. 12; pp. 1116 - 1122
Main Authors 三羽, 啓史, 三浦, 克弥, 田淵, 哲夫, 浅田, 博幸, 塚原, 富幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1977
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Summary:心電図上,ヒス束分岐部以下両脚に及ぶ伝導障害が予想されるにもかかわらず,QRS時間正常の第II度房室ブロックを示す症例を報告した.症例は64歳の男性で3年前より軽度の高血圧を指摘されている以外には特別既往症はない.今回は眩量を主訴に入院した. 心拍(頻拍)依存性左脚ブロックとMobitz II型右脚ブロックの共存の結果,1:1伝導時のQRS波形は左脚ブロックを伴うが,第II度右脚ブロックにより心室拍数が減ずると,伝導時に左脚の伝導性も改善しQRS波形の正常化がみられたものと思われる. 主な病変部位としては,PR時間一定の交代性脚ブロック,QRS電気軸正常の左脚ブロック,左脚主幹部起源の補充調律などの所見から,ヒス束遠位部以下両脚近位部に至る比較的狭い範囲の障害が予想される.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.9.12_1116