症例 Cardiobacterium hominisによる感染性心内膜炎の1例

Cardiobacterium hominisによる感染性心内膜炎の1例を経験した.症例は33歳女性.11歳時より心疾患を指摘されており,微熱・全身倦怠感が続くため入院.心エコーで僧帽弁前尖の腱索断裂とvegetationが認められ,血液培養よりcardiobacterinm hominisが検出された.in vitroでは,各種抗生剤に感受性は良好だったが,十分量と思われるpenicillin Gによる治療にもかかわらず,炎症所見が改善しないため,僧帽弁置換術が施行された. Cardiobacterium hominisは正常人の上気道や生殖器・消化管にみられるグラム陰性桿菌であり,欧米では...

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Published in心臓 Vol. 19; no. 7; pp. 876 - 881
Main Authors 五十嵐, 謙一, 木戸, 成生, 今成, 朗, 荒井, 裕, 小沢, 武文, 柴田, 昭, 尾崎, 京子, 高野, 操, 宮村, 治男, 中込, 正昭, 古谷, 克雄, 江口, 昭治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1987
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Summary:Cardiobacterium hominisによる感染性心内膜炎の1例を経験した.症例は33歳女性.11歳時より心疾患を指摘されており,微熱・全身倦怠感が続くため入院.心エコーで僧帽弁前尖の腱索断裂とvegetationが認められ,血液培養よりcardiobacterinm hominisが検出された.in vitroでは,各種抗生剤に感受性は良好だったが,十分量と思われるpenicillin Gによる治療にもかかわらず,炎症所見が改善しないため,僧帽弁置換術が施行された. Cardiobacterium hominisは正常人の上気道や生殖器・消化管にみられるグラム陰性桿菌であり,欧米では本菌による感染性心内膜炎の症例が報告されているが,本邦での報告はなく,本例が本邦での第1例と思われた. また,本例は経過中抗核抗体の陽性化や抗DNA抗体・免疫複合体の上昇がみられネフローゼ状態を呈した.感染性心内膜炎では菌体抗原に対する免疫反応の存在が考えられており,本例でも同様な機序によるものと考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.19.7_876