研究会 第23回 河口湖心臓討論会 虚血性心筋障害 低酸素心筋障害におけるイノシトールリン脂質代謝に関する研究
心筋細胞障害の発生起点とその進展に関して,その機序を検討する目的で,培養心筋細胞を用い,低酸素下細胞膜障害,特にリン脂質代謝に関連する,細胞膜情報伝達の中心的役割を果たすイノシトールリン脂質-Ca2+系の検討を行い,その結果,心筋細胞障害の発生起点としてβアドレナリン受容体刺激によるcAMPの増加とそれによるCa2+幸の細胞内流入が考えられた.さらにPIP2-PLC活性化およびIP3,IP4の産生によるCa2+の急激な細胞内への流入により細胞障害は強まり,低酸素化30~60分頃よりこのCa2+濃度が上昇し,PLA2が活性化され細胞膜リン脂質崩壊が強まり,低酸素4時間以降ではプロテアーゼが細胞障...
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Published in | 心臓 Vol. 22; no. 4; pp. 449 - 458 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
1990
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.22.4_449 |
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Summary: | 心筋細胞障害の発生起点とその進展に関して,その機序を検討する目的で,培養心筋細胞を用い,低酸素下細胞膜障害,特にリン脂質代謝に関連する,細胞膜情報伝達の中心的役割を果たすイノシトールリン脂質-Ca2+系の検討を行い,その結果,心筋細胞障害の発生起点としてβアドレナリン受容体刺激によるcAMPの増加とそれによるCa2+幸の細胞内流入が考えられた.さらにPIP2-PLC活性化およびIP3,IP4の産生によるCa2+の急激な細胞内への流入により細胞障害は強まり,低酸素化30~60分頃よりこのCa2+濃度が上昇し,PLA2が活性化され細胞膜リン脂質崩壊が強まり,低酸素4時間以降ではプロテアーゼが細胞障害に大きく関与していると考えられた.低酸素障害防止には細胞内Ca濃度上昇を防ぐβblockade,Ca依存性中性プロテアーゼ阻害剤calpastatin Iが有効であった. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.22.4_449 |