症例 特発性多形性心室頻拍の発症に関与すると考えられた右室流出路起源の期外収縮に高周波カテーテル焼灼術を行って除細動器を植え込んだ1症例

症例は59歳,女性.繰り返す失神発作の既往を有し,入院のきっかけとなった意識消失発作時にモニター心電図で心室細動が記録された.安静時心電図のQT間隔は正常で,右室流出路起源の期外収縮がわずかな波形変化を伴って同一の連結期(420msec)で多発していた.非持続性の多形性心室頻拍が繰り返し出現したが,心室頻拍の1拍目の波形は常に一定であった.期外収縮はイソプロテレノールとエピネフリンの点滴で消失し,エドロフォニウム静注では不変であった.心臓電気生理学的検査ではイソプロテレノール負荷を含めた両心室からのプログラム刺激で心室頻拍は誘発されなかった.多形性心室頻拍の1拍目の波形と同一の心室性期外収縮の...

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Published in心臓 Vol. 34; no. 9; pp. 741 - 748
Main Authors 保坂, 幸男, 相澤, 義房, 鷲塚, 隆, 奥村, 弘史, 渡部, 裕, 池主, 雅臣, 田川, 実, 阿部, 晃, 古嶋, 博司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2002
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.34.9_741

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Summary:症例は59歳,女性.繰り返す失神発作の既往を有し,入院のきっかけとなった意識消失発作時にモニター心電図で心室細動が記録された.安静時心電図のQT間隔は正常で,右室流出路起源の期外収縮がわずかな波形変化を伴って同一の連結期(420msec)で多発していた.非持続性の多形性心室頻拍が繰り返し出現したが,心室頻拍の1拍目の波形は常に一定であった.期外収縮はイソプロテレノールとエピネフリンの点滴で消失し,エドロフォニウム静注では不変であった.心臓電気生理学的検査ではイソプロテレノール負荷を含めた両心室からのプログラム刺激で心室頻拍は誘発されなかった.多形性心室頻拍の1拍目の波形と同一の心室性期外収縮の起源を右室流出路中隔側に同定して,高周波カテーテル焼灼術を行ったところ,標的とした期外収縮は消失し,その後は多形性心室頻拍も認められなくなった.除細動器を植え込み,その後1年問の経過観察で除細動器作動は認めていない.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.34.9_741