症例 Nifedipineにより狭心痛発作が誘発された

不安定狭心症の患者においてNifedipineの経口投与がかえって狭心痛発作を誘発した症例を2例経験したので,臨床上の特徴を述べるとともに他の種々の抗狭心症薬剤,冠拡張剤の投与に対する反応と比較することにより,Nifedipineの狭心痛発作誘発機序につき考察し報告した.2症例ともに陳旧性心筋梗塞後に発症した不安定狭心症であり,安静と労作の両方で心電図にてST低下を伴った狭心痛発作が出現し,症例1では発作中ST上昇を認めたこともあった.両症例ともに冠動脈造影にて高度な器質性狭窄所見がみられる多枝病変例であり,しかも左室拡張終期圧の著明な上昇と駆出率の低下がみられ,左室予備能の低下が推定された....

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Published in心臓 Vol. 14; no. 6; pp. 815 - 820
Main Authors 川嶋, 成乃亮, 横山, 光宏, 藤谷, 和大, 秋田, 穂束, 岡田, 敏男, 銕, 啓司, 坂本, 丞, 伊藤, 芳久, 猪尾, 力, 福崎, 恒
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1982
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Summary:不安定狭心症の患者においてNifedipineの経口投与がかえって狭心痛発作を誘発した症例を2例経験したので,臨床上の特徴を述べるとともに他の種々の抗狭心症薬剤,冠拡張剤の投与に対する反応と比較することにより,Nifedipineの狭心痛発作誘発機序につき考察し報告した.2症例ともに陳旧性心筋梗塞後に発症した不安定狭心症であり,安静と労作の両方で心電図にてST低下を伴った狭心痛発作が出現し,症例1では発作中ST上昇を認めたこともあった.両症例ともに冠動脈造影にて高度な器質性狭窄所見がみられる多枝病変例であり,しかも左室拡張終期圧の著明な上昇と駆出率の低下がみられ,左室予備能の低下が推定された.他の薬剤では,Dipyridamole,Hydralazineの静脈内投与により狭心痛発作が出現しており,Nifedipineによる狭心痛発作誘発の機序としては,前負荷の増大およびcoronary steal現象による心筋内血流分布変化が考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.14.6_815