臨床 Sudden cardiac arrestにおける予後規定因子の検討

Sudden cardiac arrest(SCA)は,発症前後の状況が不明確なことが多く,救急治療や予防を困難にしている.本報告は,一般病棟入院中に発現したSCA例を検討し,その予後を左右する因子を明らかにすることを目的としている.昭和46年より昭和58年の間に,一般病棟にてSCAを呈した73例(男37,女36,年齢:15~82歳,平均61歳)を対象とし,SCAは心室頻拍(VT 14例),心室細動(VF 34例),心室自動などの高度徐脈性不整脈(BA 25例)により失神をきたしたものとした.全体の一次蘇生率は49%,3カ月以上の長期生存率は29%,生存退院率は26%であった.一次蘇生率の規定...

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Published in心臓 Vol. 17; no. 9; pp. 957 - 963
Main Authors 北, 義人, 三船, 順一郎, 多賀, 邦章, 清水, 賢巳, 一二三, 宣秀, 高橋, 美文, 田中, 孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1985
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Summary:Sudden cardiac arrest(SCA)は,発症前後の状況が不明確なことが多く,救急治療や予防を困難にしている.本報告は,一般病棟入院中に発現したSCA例を検討し,その予後を左右する因子を明らかにすることを目的としている.昭和46年より昭和58年の間に,一般病棟にてSCAを呈した73例(男37,女36,年齢:15~82歳,平均61歳)を対象とし,SCAは心室頻拍(VT 14例),心室細動(VF 34例),心室自動などの高度徐脈性不整脈(BA 25例)により失神をきたしたものとした.全体の一次蘇生率は49%,3カ月以上の長期生存率は29%,生存退院率は26%であった.一次蘇生率の規定因子として(1)蘇生術開始までの時間(一次蘇生率は1分以内62%,10分以上17%),(2)発見時不整脈(同VT:79%,VF:59%,BA:20%),(3)発現時刻(同8~16時:60%,0~8時:21%),(4)年齢(同70歳未満:57%,70歳以上:32%)が重要であった.生存退院率は上記因子に加え,(1)心不全重症度(生存退院率は, NYHAI+II:45%,III+IV:18%),(2)心胸郭比(同CTR≦67%:35%,CTR>67%:16%),(3)蘇生直後アシドーシス(一次蘇生例中,動脈血ガスpH7.3以上を示した例の生存退院率:75%,同pH7.3未満:33%)が,重要であった.基礎疾患においては,冠疾患が一次蘇生率不良であった.心電図QT時間,血清カリウム値は,予後に明らかな影響を与えなかった.一次蘇生者の死因では,高度の中枢神経障害が最も重要であった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.17.9_957