ニワトリ糸球体傍細胞における酸性フォスファターゼの局在と貧食能に関する研究

ニワトリ腎臓における糸球体傍細胞(JG cell)内果粒と糸球体血管間膜細胞および血管内皮細胞内に存在するライソゾーム様果粒の性状を, 酸性フォスファターゼの検出およびコロイダルカーボンに対する貧食能とで比較した。酸性フォスファターゼは糸球体内血管内皮細胞, 血管間膜細胞およびJG cell内に強く局在し, 果粒内ならびに果粒膜の他いわゆるGERLにも局在した。JG cell内果粒の反応は多様性を示し, 全く反応を示さないものから強い局在を示すものまで種々存在した。カーボン粒子投与後1日目では血管内皮細胞内に, 1-4週目では血管間膜細胞内にカーボン粒子がみとめられ, とくに4週目では間質内に...

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Published in日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science) Vol. 48; no. 5; pp. 925 - 931
Main Authors 昆, 泰寛, 橋本, 善春, 北川, 浩, 工藤, 規雄
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 公益社団法人 日本獣医学会 1986
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Summary:ニワトリ腎臓における糸球体傍細胞(JG cell)内果粒と糸球体血管間膜細胞および血管内皮細胞内に存在するライソゾーム様果粒の性状を, 酸性フォスファターゼの検出およびコロイダルカーボンに対する貧食能とで比較した。酸性フォスファターゼは糸球体内血管内皮細胞, 血管間膜細胞およびJG cell内に強く局在し, 果粒内ならびに果粒膜の他いわゆるGERLにも局在した。JG cell内果粒の反応は多様性を示し, 全く反応を示さないものから強い局在を示すものまで種々存在した。カーボン粒子投与後1日目では血管内皮細胞内に, 1-4週目では血管間膜細胞内にカーボン粒子がみとめられ, とくに4週目では間質内に食細胞小島が形成されていた。しかし, JG cell内のカーボン粒子は全観察期間を通じてみとめられなかった。これらの結果はJG cell内の酸性フォスファターゼが貧食能に関係するものではないことを示唆するものと思われる。なお, その存在意義を果粒の産生と関連させて考察した。
ISSN:0021-5295
1881-1442
DOI:10.1292/jvms1939.48.925