CAPD患者の腹膜炎とインフルエンザ抗体産生能
慢性腎不全では免疫障害が報告されておりCAPD患者の腹膜炎との関連が示唆されている. 今回我々はインフルエンザワクチンに対する抗体産生能と腹膜炎の頻度に関連があるか否かについて検討した. 非糖尿病CAPD患者30名 (腹膜炎既往あり16名, 腹膜炎既往14名), 血液透析患者10名, 未透析慢性腎不全患者 (CRF) 15名および健常成人15名を対象にインフルエンザワクチン0.5mlを4週間隔で2回接種し血清抗体価を補体結合反応 (CF), 赤血球凝集阻止反応 (HI) およびELISAによりIgG, IgMクラス別抗体価を測定した. CF, HI, IgGクラスではすべての群で有意な抗体価の...
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Published in | 日本透析療法学会雑誌 Vol. 23; no. 5; pp. 457 - 461 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
社団法人 日本透析医学会
1990
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ISSN | 0911-5889 1884-6211 |
DOI | 10.4009/jsdt1985.23.457 |
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Summary: | 慢性腎不全では免疫障害が報告されておりCAPD患者の腹膜炎との関連が示唆されている. 今回我々はインフルエンザワクチンに対する抗体産生能と腹膜炎の頻度に関連があるか否かについて検討した. 非糖尿病CAPD患者30名 (腹膜炎既往あり16名, 腹膜炎既往14名), 血液透析患者10名, 未透析慢性腎不全患者 (CRF) 15名および健常成人15名を対象にインフルエンザワクチン0.5mlを4週間隔で2回接種し血清抗体価を補体結合反応 (CF), 赤血球凝集阻止反応 (HI) およびELISAによりIgG, IgMクラス別抗体価を測定した. CF, HI, IgGクラスではすべての群で有意な抗体価の上昇がみられたが, CAPD腹膜炎群とCRF群ではIgM抗体価の上昇がみられなかった. 各群間の比較ではCAPD腹膜炎群ではHIおよびIgG抗体価陽性率がcontrolに比し有意な低値を示した. 特に5回以上の腹膜炎を頻発した2症例ではCF, HI, クラス別抗体価いずれでもが経過中陰性であった. 慢性腎不全ではインフルエンザワクチンに対する抗体産生能の障害が示唆され, 腹膜炎発症, 特に頻発例の一因である可能性が示された. |
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ISSN: | 0911-5889 1884-6211 |
DOI: | 10.4009/jsdt1985.23.457 |