症例 15歳まで無症状に経過し,学校検診を契機に発見された単純型大動脈縮窄症の1例
15歳まで無症状に経過し,学校検診を契機に発見された単純型大動脈縮窄症の1例を経験した.症例は15歳の高校生男児.学校検診で心電図上左室肥大を指摘され,精査目的で当院を紹介受診した.外来で高血圧を認め,心臓超音波検査で,左室肥大と中等度の大動脈弁閉鎖不全症を認めたため,精査目的で入院とした.上下肢間に収縮期血圧で約50mmHgの血圧差が存在し,大動脈縮窄症を疑い胸部3D-CTを施行した.左鎖骨下動脈分岐直後から約3.5cmにわたる大動脈の高度狭窄像と肋間動脈と内胸動脈の拡張所見を認めた.心臓カテーテル検査では,縮窄部で血流は狭小化し,上行大動脈と下行大動脈間で76mmHgの収縮期圧較差を認めた...
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Published in | 心臓 Vol. 35; no. 6; pp. 419 - 422 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2003
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo1969.35.6_419 |
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Summary: | 15歳まで無症状に経過し,学校検診を契機に発見された単純型大動脈縮窄症の1例を経験した.症例は15歳の高校生男児.学校検診で心電図上左室肥大を指摘され,精査目的で当院を紹介受診した.外来で高血圧を認め,心臓超音波検査で,左室肥大と中等度の大動脈弁閉鎖不全症を認めたため,精査目的で入院とした.上下肢間に収縮期血圧で約50mmHgの血圧差が存在し,大動脈縮窄症を疑い胸部3D-CTを施行した.左鎖骨下動脈分岐直後から約3.5cmにわたる大動脈の高度狭窄像と肋間動脈と内胸動脈の拡張所見を認めた.心臓カテーテル検査では,縮窄部で血流は狭小化し,上行大動脈と下行大動脈間で76mmHgの収縮期圧較差を認めた.動脈管開存や心室中隔欠損症などの合併奇形は認められず,単純型大動脈縮窄症と診断し,外科的再建術を施行した. 本症は,未治療例での平均寿命は34歳であり,小児期を過ぎて再建術を施行した場合には,高血圧の残存頻度が高く,早期発見が望まれる.集団検診のあり方に警鐘を鳴らす症例として報告した. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.35.6_419 |