小学3~6年生における文章の要点読解低成績の背景要因に関する研究 ―論理の接続詞「だから」「しかし」の文完成テストの低成績を中心とした検討
文章読解の成績には、文字―音のデコーディングが影響し、日本語では漢字単語の読み成績の関与が強いことが報告されている。本研究では、要点読解の低成績を示す児童のうち漢字単語の読み困難を伴う者(A群)と伴わない者(B群)を対象として、読解低成績の背景要因を多項ロジスティック分析により検討した。対象児は、小学3~6年生1,107名である。目的変数はA群とB群の生起とし、説明変数は「だから」と「しかし」の接続詞テスト、語彙テスト、ひらがな単語の流暢な読みテスト、言語性ワーキングメモリーテストの低成績とした。読解低成績の背景要因として、3・4年生のA群では「だから」と「しかし」の低成績の重複が関与した。B...
Saved in:
Published in | 特殊教育学研究 Vol. 62; no. 1; pp. 1 - 13 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本特殊教育学会
31.05.2024
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0387-3374 2186-5132 |
DOI | 10.6033/tokkyou.23A022 |
Cover
Loading…
Summary: | 文章読解の成績には、文字―音のデコーディングが影響し、日本語では漢字単語の読み成績の関与が強いことが報告されている。本研究では、要点読解の低成績を示す児童のうち漢字単語の読み困難を伴う者(A群)と伴わない者(B群)を対象として、読解低成績の背景要因を多項ロジスティック分析により検討した。対象児は、小学3~6年生1,107名である。目的変数はA群とB群の生起とし、説明変数は「だから」と「しかし」の接続詞テスト、語彙テスト、ひらがな単語の流暢な読みテスト、言語性ワーキングメモリーテストの低成績とした。読解低成績の背景要因として、3・4年生のA群では「だから」と「しかし」の低成績の重複が関与した。B群では「だから」の低成績のみが関与した。5・6年生では、接続詞低成績の関与が少なくなった。3・4年生では、論理の接続詞の選択で不全を示すために、文章の要点をまとめることが困難となる児童の存在が示唆された。 |
---|---|
ISSN: | 0387-3374 2186-5132 |
DOI: | 10.6033/tokkyou.23A022 |