臨床 心筋梗塞後の症例におけるアンジオテンシン変換酵素阻害薬の心事故予防効果

我が国におけるACE阻害薬の心筋梗塞後の心事故発生予防効果を知る目的で,1991年1月から1996年12月までの当科で登録した心筋梗塞患者連続950例につき,心筋梗塞後の心事故(致死性および非致死性再梗塞,突然死,心不全死)発生率を調査した.心事故発生はACE阻害薬服用群306例中5例(1.6%,15.6/1000人年),非服用群644例中21例(3.3%,23.7/1000人年)に認め,有意ではないがodds比が1以下であった(odds比0.53,95%信頼限界0.21-1.36).また,心エコーで求めたwa11motion indexが8未満の左室壁運動異常の少ない症例の心事故発生はACE...

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Published in心臓 Vol. 32; no. 7; pp. 547 - 556
Main Authors 林, 孝浩, 池田, 章子, 谷和, 孝昭, 北山, 耕司, 薮下, 博史, 宮高, 昌, 木村, 彰男, 片山, 克彦, 猪木, 達, 竹中, 俊彦, 金政, 健, 石川, 欽司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2000
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Summary:我が国におけるACE阻害薬の心筋梗塞後の心事故発生予防効果を知る目的で,1991年1月から1996年12月までの当科で登録した心筋梗塞患者連続950例につき,心筋梗塞後の心事故(致死性および非致死性再梗塞,突然死,心不全死)発生率を調査した.心事故発生はACE阻害薬服用群306例中5例(1.6%,15.6/1000人年),非服用群644例中21例(3.3%,23.7/1000人年)に認め,有意ではないがodds比が1以下であった(odds比0.53,95%信頼限界0.21-1.36).また,心エコーで求めたwa11motion indexが8未満の左室壁運動異常の少ない症例の心事故発生はACE阻害薬服用群で2例(1.6%)で,非服用群の2例(0.7%)と比べ有用性を認めなかったが,左室壁運動異常が強いwall motionindexが8以上の重篤な症例では,ACE阻害薬服用群の心事故発生が2例(2.0%)であったのに対し,非服用群では10例(6.5%)で,有意ではないがACE阻害薬服用により心事故発生が減少し,有用である可能性が示された.この結果は欧米での大規模無作為臨床試験とほぼ同様の結果を示唆するものであった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.32.7_547