臨床 経食道心エコー法によるカテーテル通過可能な卵円孔開存の予測

卵円孔開存は,paradoxical embolismの原因となったり,カテーテル焼灼術および電気生理学的検査施行の際には有利な条件となったりする.今回,経食道心エコー法(TEE)を用いて卵円孔開存の有無を予測しうるかを検討した. (対象と方法)発作性上室性頻拍の患者15例.(1)TEEにて,1)バルサルバ手技のみ,2)バルサルバ手技下のコントラストエコー法および3)コントラストエコー法のみの3方法を施行し検討した.卵円孔開存陽性とは,(A)バルサルバ手技下にコントラストエコー法を施行し,右房にコントラストの出現と同時にバルサルバ手技を解除し,解徐後3心拍以内に左房にコントラストが出現した時,...

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Published in心臓 Vol. 26; no. 4; pp. 361 - 369
Main Authors 栗田, 隆志, 相原, 直彦, 矢坂, 正弘, 仲宗根, 出, 永田, 正毅, 徳田, 宇弘, 田口, 誠一郎, 大坪, 亮一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1994
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.26.4_361

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Summary:卵円孔開存は,paradoxical embolismの原因となったり,カテーテル焼灼術および電気生理学的検査施行の際には有利な条件となったりする.今回,経食道心エコー法(TEE)を用いて卵円孔開存の有無を予測しうるかを検討した. (対象と方法)発作性上室性頻拍の患者15例.(1)TEEにて,1)バルサルバ手技のみ,2)バルサルバ手技下のコントラストエコー法および3)コントラストエコー法のみの3方法を施行し検討した.卵円孔開存陽性とは,(A)バルサルバ手技下にコントラストエコー法を施行し,右房にコントラストの出現と同時にバルサルバ手技を解除し,解徐後3心拍以内に左房にコントラストが出現した時,あるいは(B)コントラストエコー法のみで,右房にコントラストが出現した後3心拍以内に左房にコントラストが出現した時,とした.(2)右大腿静脈からカテーテル(カテ)を用いて,カテが卵円孔を通過するか否かを調べた.(結果)(1)卵円孔開存陽性の基準(A)を満たす症例は5例で,基準(B)を満たす症例はなかった.(2)基準(A)の症例のうちバルサルバ手技解除後1心拍以内に左房にコントラストが出現した3例では,全例カテにて卵円孔を通過可能で,その他の症例ではカテによる通過は不可能であった.(考按)カテにて卵円孔開存の存在が確認された症例は全例1心拍以内にコントラストが左房に出現し,これまでの卵円孔開存陽性の基準である3,4心拍以内に出現するという基準とは異なっていた.また,バルサルバ手技のみ施行した際にもバルサルバ手技解除後3心拍以内に左房にコントラスト様エコーが出現する例が2例あり,従来通りのバルサルバ手技下のコントラストエコー法およびコントラストエコー法のみを施行した時,誤って卵円孔開存陽性と判断する可能性がある.したがって,バルサルバ手技のみも施行する必要があると考えられた.(結語)TEEにてカテ通過可能な卵円孔開存の存在を予測することは可能であり,それにはバルサルバ手技下のコントラストエコー法でバルサルバ手技解除後1心拍以内に左房にコントラストが出現するという基準が妥当であると考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.26.4_361