HEART's Original [症例] 冠動脈インターベンション後早期から腎機能悪化を認めステロイド治療が奏効したコレステロール塞栓症の1例

症例は81歳,男性.2003年9月30日に急性心筋梗塞で当科に入院した.緊急冠動脈造影検査で#790%,#13100%を認め,責任病変の#13にステントを留置した.直後より軽度の腎機能の悪化と好酸球増加を認めたが皮疹はなく,造影剤による腎障害と薬物アレルギーを疑い,補液と利尿,内服薬の変更を行った.リハビリテーションの進行に伴い残存虚血を認めたため,補液を十分に行い最小限の造影剤で10月14日,#7にステントを留置した.その後,さらなる好酸球増加を認めたが,補液と利尿の確保を継続することで腎機能の増悪は認めなかった.皮疹の出現もなく経過良好で一旦退院した.11月初旬より足趾の変色と乏尿を自覚,...

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Published in心臓 Vol. 37; no. 6; pp. 462 - 467
Main Authors 西田, 卓, 森本, 淳詞, 山本, 和央, 添田, 恒有, 藤本, 隆富, 高見, 泰宏, 福原, 慎也, 高瀬, 栄司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2005
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Summary:症例は81歳,男性.2003年9月30日に急性心筋梗塞で当科に入院した.緊急冠動脈造影検査で#790%,#13100%を認め,責任病変の#13にステントを留置した.直後より軽度の腎機能の悪化と好酸球増加を認めたが皮疹はなく,造影剤による腎障害と薬物アレルギーを疑い,補液と利尿,内服薬の変更を行った.リハビリテーションの進行に伴い残存虚血を認めたため,補液を十分に行い最小限の造影剤で10月14日,#7にステントを留置した.その後,さらなる好酸球増加を認めたが,補液と利尿の確保を継続することで腎機能の増悪は認めなかった.皮疹の出現もなく経過良好で一旦退院した.11月初旬より足趾の変色と乏尿を自覚,起坐呼吸が出現し11月18日に再入院した.足趾に紫斑と網状皮疹を認め,好酸球増多,腎機能の増悪とあわせてコレステロール塞栓症と診断,プレドニゾロンとプラバスタチンの投与を開始した.入院時利尿剤に反応せず水分コントロールに体外循環を要したが,ステロイド開始後に高好酸球血症は速やかに消退,腎機能も次第に改善し利尿剤への反応も良好となり体外循環を離脱し得た.カテーテル検査などの誘因を有する患者に好酸球増多を認めた場合は,本症を積極的に疑い早期に診断治療することが重要であり,ステロイドは腎機能の改善に有効であると考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.37.6_462