症例 左室壁運動異常を呈した特発性収縮性心膜炎の1例

症例は19歳男性.呼吸困難・咳嗽を主訴とし,1989年3月22日当院入院.心エコー図にて心嚢液貯留を認め,心嚢水穿刺では血性心嚢液が検出されたが結核菌・癌細胞は認められなかった.5月中旬頃より心不全症状出現と共に心エコー図にて左室壁運動低下と共に心膜腔内に塊状および網状の異常エコーが観察され,活動性の炎症が考えられた.その後収縮性心膜炎となり6月22日手術施行した.心膜の剥離切除と同時に左室壁運動も軽快し左室壁運動の低下の原因は心膜の肥厚とその癒着によるものと考えられた.本例のように早期に収縮性心膜炎へ移行が考えられる場合は早い時期に心膜剥離・切除が望ましいと考えられた.この間の経過を心エコー...

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Published in心臓 Vol. 23; no. 7; pp. 794 - 799
Main Authors 瀬尾, 俊彦, 高岡, 秀幸, 池田, 嘉弘, 藤田, 英樹, 小柳津, 竜樹, 林, 孝浩, 川口, 慶三, 小竹, 親夫, 戸田, 常紀, 小林, 克也, 辻野, 博之, 横田, 慶之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1991
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Summary:症例は19歳男性.呼吸困難・咳嗽を主訴とし,1989年3月22日当院入院.心エコー図にて心嚢液貯留を認め,心嚢水穿刺では血性心嚢液が検出されたが結核菌・癌細胞は認められなかった.5月中旬頃より心不全症状出現と共に心エコー図にて左室壁運動低下と共に心膜腔内に塊状および網状の異常エコーが観察され,活動性の炎症が考えられた.その後収縮性心膜炎となり6月22日手術施行した.心膜の剥離切除と同時に左室壁運動も軽快し左室壁運動の低下の原因は心膜の肥厚とその癒着によるものと考えられた.本例のように早期に収縮性心膜炎へ移行が考えられる場合は早い時期に心膜剥離・切除が望ましいと考えられた.この間の経過を心エコー図にて観察でき,収縮性心膜炎の病態を把握する上で有用であると考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.23.7_794