研究 冠攣縮性狭心症における寒冷負荷に対する血中ノルエピネフリン反応の特異性

冠攣縮性狭心症における交感神経系の機能を検討するために,冠攣縮性狭心症(VA)22例,労作狭心症(EA)17例および健常(NC)9例に寒冷負荷試験を施行し,その循環反応ならびに血中ノルエピネフリン(PNE)濃度の変化を比較検討した.結果:寒冷負荷に対する昇圧反応(平均血圧上昇度)には3群間で差異を認めず,心拍数も軽度ではあるが,3群とも同程度に増加した.しかしPNE濃度の増加度はVA群がNC群より有意に(p<0.025)小であり,VA群のうち,冠動脈に有意狭窄を認めなかった14例の増加度はEA群,NC群のいずれに対しても有意に(p<0.05,p<0.01)小であった.結論:冠...

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Published in心臓 Vol. 22; no. 6; pp. 633 - 639
Main Authors 鰺坂, 隆一, 渡辺, 重行, 増岡, 健志, 藤田, 享宣, 松本, 龍馬, 杉下, 靖郎, 伊藤, 巌
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1990
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Summary:冠攣縮性狭心症における交感神経系の機能を検討するために,冠攣縮性狭心症(VA)22例,労作狭心症(EA)17例および健常(NC)9例に寒冷負荷試験を施行し,その循環反応ならびに血中ノルエピネフリン(PNE)濃度の変化を比較検討した.結果:寒冷負荷に対する昇圧反応(平均血圧上昇度)には3群間で差異を認めず,心拍数も軽度ではあるが,3群とも同程度に増加した.しかしPNE濃度の増加度はVA群がNC群より有意に(p<0.025)小であり,VA群のうち,冠動脈に有意狭窄を認めなかった14例の増加度はEA群,NC群のいずれに対しても有意に(p<0.05,p<0.01)小であった.結論:冠攣縮性狭心症では寒冷負荷に対する血中ノルエピネフリン濃度の上昇は小さいにもかかわらず,循環反応は健常群と差異がないことから,交感神経刺激に対する心血管系の反応性はむしろ充進している可能性が示唆された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.22.6_633