7.ITを用いた多職種連携情報共有基盤―すさみ町地域見守り支援システム

背景・目的:すさみ町(人口約5,000人,高齢化率40%)は和歌山県南部の典型的な中山間地域にある.医療,介護,福祉の需要は増加しているが,人的資源は少なく,効率よく地域を見守れるようITを用いて各分野の情報を共有する「すさみ町地域見守り支援システム」を構築,運用している.その概要を述べる.対象・方法:同意を得た住民2,600名(全人口の53.3%,成人人口の62.8%)を対象とし,平成22年1月よりシステムを稼働した.医療情報は当院から,訪問看護情報はすさみ町訪問看護ステーションから,介護情報はすさみ町社会福祉協議会から,福祉・健康情報はすさみ町役場から,それぞれ情報公開サーバーを介して連携...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 51; no. 3; pp. 236 - 239
Main Authors 高垣, 有作, 山本, 修司, 久保, 真佑, 國立, 晃成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 2014
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.51.236

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Summary:背景・目的:すさみ町(人口約5,000人,高齢化率40%)は和歌山県南部の典型的な中山間地域にある.医療,介護,福祉の需要は増加しているが,人的資源は少なく,効率よく地域を見守れるようITを用いて各分野の情報を共有する「すさみ町地域見守り支援システム」を構築,運用している.その概要を述べる.対象・方法:同意を得た住民2,600名(全人口の53.3%,成人人口の62.8%)を対象とし,平成22年1月よりシステムを稼働した.医療情報は当院から,訪問看護情報はすさみ町訪問看護ステーションから,介護情報はすさみ町社会福祉協議会から,福祉・健康情報はすさみ町役場から,それぞれ情報公開サーバーを介して連携サーバーによる共有を行った.医療情報は当院のオーダリングシステムより処方,注射,検体検査結果,画像を自動で抽出,訪問看護情報,介護情報は訪問看護師,介護士により携帯端末から在宅利用者情報を自動で入力,福祉・健康情報は基本健診,各種がん検診結果,予防接種状況を半自動で入力するようにした.使用する携帯端末はレセプト請求が可能で,事務作業軽減が期待できる.また赤外線センサーを設置し,在宅での日常生活活動情報も観察,閲覧可能である.これらの情報はオーダリング画面上,もしくは専用端末で閲覧可能となっている.結果:システムの運営・維持は町が行い,380万円/年の費用を必要としているが,大半は赤外線センサーによる生活活動情報関連で,サーバーのみの費用は68万円/年であった.考察:システムの構築に,初期費用はかかるが,維持・運営費用は安価で,財政規模の小さい自治体でも継続は容易である.今回は限られた施設のみでの情報共有にとどめているが,外部との接続も今後行っていく予定である.このシステムを構築,運用したことにより情報の共有化が進み,各部門の連携,意思疎通も良好となった.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.51.236