症例 Screw-in leadによる心房ペーシングの長期経過を観察し得た洞機能不全症候群の1剖検例

Screw-in leadにより約14年間の心房ペーシングを施行し得た洞機能不全症候群の1剖検例を経験した.症例は80歳男性で,64歳頃より徐脈および頻脈を伴う動悸・息切れを自覚し,66歳時には約10秒間の失神発作を主訴に精査目的で当科入院.洞機能不全症候群の診断のもとに,ペースメーカー植え込み術を施行した.急性期および漫性期の刺激閾値・心房電位などの各測定値に問題はなく,経過は良好であったが,術後約14年でleadの断線が認められ再度入院.この際,左上葉肺癌と診断されたが,長時間の心停止などの重篤な所見は認められず,患者の生命予後と考え合わせ,leadの修復は施行しなかった.その後,徐々に全...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 28; no. 8; pp. 696 - 699
Main Authors 桜井, 秀彦, 小倉, 俊介, 中里, 祐二, 岡田, 了三, 山口, 洋, 住吉, 正孝, 安田, 正之, 中田, 八洲郎, 松本, 佳久, 鈴木, 宏昌, 久岡, 英彦, 戸叶, 隆司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1996
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.28.8_696

Cover

More Information
Summary:Screw-in leadにより約14年間の心房ペーシングを施行し得た洞機能不全症候群の1剖検例を経験した.症例は80歳男性で,64歳頃より徐脈および頻脈を伴う動悸・息切れを自覚し,66歳時には約10秒間の失神発作を主訴に精査目的で当科入院.洞機能不全症候群の診断のもとに,ペースメーカー植え込み術を施行した.急性期および漫性期の刺激閾値・心房電位などの各測定値に問題はなく,経過は良好であったが,術後約14年でleadの断線が認められ再度入院.この際,左上葉肺癌と診断されたが,長時間の心停止などの重篤な所見は認められず,患者の生命予後と考え合わせ,leadの修復は施行しなかった.その後,徐々に全身状態が悪化し,肺炎を合併,呼吸不全で死亡した.剖検では,lead先端は,線維弾性組織により被包され,強固に心房壁心内膜下へ固定されていた.本例の臨床経過および剖検所見は,心房screw-in leadの良好な長期信頼性を支持する所見である.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.28.8_696