昭和大学病院における細菌検出の動向および薬剤感受性第二回―1991年7月から1992年6月までの統計

昨年に引き続き, 当院での最近1年間 (1991年7月~1992年6月) の臨床分離菌の動向を集計したので報告する.一般細菌の同定・感受性検査は, Baxter社のAUTOSCAN4で行った.検出菌は前回に引き続きS. atcreus, P. aeruginosaが上位を占めた.また, 検出された菌株の多くが, 常在菌として環境中に存在するものであった.最も多くの検体から検出されたS.aureusは, その53%がMRSAであり, 多くは呼吸器由来の検体から検出された.また, 昨今抗菌剤耐性化が問題となっているP.aeruginosaは, 約16%の菌株が検査を行った13薬剤中9剤以上に耐性を...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in昭和医学会雑誌 Vol. 52; no. 6; pp. 595 - 604
Main Authors 福地, 邦彦, 茂木, 孝晴, 陳, 戈林, 高木, 康, 五味, 邦英, 牧野, 真理子, 和久田, 梨香, 田中, 庸子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 1992
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:昨年に引き続き, 当院での最近1年間 (1991年7月~1992年6月) の臨床分離菌の動向を集計したので報告する.一般細菌の同定・感受性検査は, Baxter社のAUTOSCAN4で行った.検出菌は前回に引き続きS. atcreus, P. aeruginosaが上位を占めた.また, 検出された菌株の多くが, 常在菌として環境中に存在するものであった.最も多くの検体から検出されたS.aureusは, その53%がMRSAであり, 多くは呼吸器由来の検体から検出された.また, 昨今抗菌剤耐性化が問題となっているP.aeruginosaは, 約16%の菌株が検査を行った13薬剤中9剤以上に耐性を示す多剤耐性菌であった.他の菌種もそれぞれに特徴的な感受性パターンを示しており, 抗菌剤選択には充分注意を要することが改めて確認された.MRSAとP.aeruginosaの混合感染は各々の菌種の感染の30%に認められ, 易感染性患者の管理の困難さがうかがえる.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.52.595