研究会 第6回 心臓核医学研究会 Radionuclide ventriculographyによる右室梗塞の検討

急性心筋梗塞における右室梗塞の発生頻度およびその経過について検討するため急性心筋梗塞50例(前壁25例,下壁25例)において発症直後,1~2週後,および1カ月後に心電図同期心プールシンチグラフィーを施行した. 1)急性心筋梗塞50例中15例に右室梗塞が合併していた.しかし前壁心筋梗塞例には1例も認めず,すべて下壁心筋梗塞例に合併していた. 2)右室梗塞では急性期右室駆出率が低下し,また右室局所壁運動異常が認められたが,多くの症例において右室壁運動異常の改善に伴い右室駆出率が1カ月以内にほぼ正常に回復した. 3)このような右室梗塞の経過は左室にみられる梗塞とは全く異なり,これは右室冠動脈灌流の特...

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Published in心臓 Vol. 18; no. 1; pp. 119 - 127
Main Authors 竹沢, 英郎, 市川, 毅彦, 中野, 赳, 矢田, 隆志, 山室, 匡史, 二神, 康夫, 小西, 得司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1986
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.18.1_119

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Summary:急性心筋梗塞における右室梗塞の発生頻度およびその経過について検討するため急性心筋梗塞50例(前壁25例,下壁25例)において発症直後,1~2週後,および1カ月後に心電図同期心プールシンチグラフィーを施行した. 1)急性心筋梗塞50例中15例に右室梗塞が合併していた.しかし前壁心筋梗塞例には1例も認めず,すべて下壁心筋梗塞例に合併していた. 2)右室梗塞では急性期右室駆出率が低下し,また右室局所壁運動異常が認められたが,多くの症例において右室壁運動異常の改善に伴い右室駆出率が1カ月以内にほぼ正常に回復した. 3)このような右室梗塞の経過は左室にみられる梗塞とは全く異なり,これは右室冠動脈灌流の特異性によるものと考えられる. 4)右室梗塞は,下壁梗塞には過半数以上に認められる合併症であり急性心筋梗塞の治療においてその存在の有無を確認し,かつ右室機能の判定を行うに核医学的検査法は極めて有用であった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.18.1_119