症例 大動脈弁閉鎖不全を伴った大動脈四尖弁と思われる1症例およびその文献的考察

逆行性大動脈造影にて,4個のValsalva洞を認めるとともに,造影剤の左室内逆流を認め,大動脈弁閉鎖不全を伴った大動脈四尖弁と診断した症例を経験し報告した. 本例における4個のValsalva洞は,無冠洞が大きく2分されてできたものと考えられ,また左冠動脈は通常よりも高い位置より起始していた.大動脈弁のUCGでは収縮期に左冠尖エコーと無冠尖エコーとの間に弁エコーと同様な動き,幅を示すもう一本のエコーが認められた.これは大動脈四尖弁のUCG所見について報告した最初のものと思われる. 大動脈四尖弁はきわめてまれな先天性疾患であり,われわれが調べえた範囲ではこれまでに内外で28例の報告をみるのみで...

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Published in心臓 Vol. 10; no. 9; pp. 949 - 954
Main Authors 御厨, 美昭, 松本, 保和, 坂井, 明紀, 吉雄, 幸治, 園田, 康男, 岩永, 敦, 今村, 俊之, 古賀, 秀隆, 木村, 南樹, 藤原, 恒夫, 前田, 宏文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1978
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Summary:逆行性大動脈造影にて,4個のValsalva洞を認めるとともに,造影剤の左室内逆流を認め,大動脈弁閉鎖不全を伴った大動脈四尖弁と診断した症例を経験し報告した. 本例における4個のValsalva洞は,無冠洞が大きく2分されてできたものと考えられ,また左冠動脈は通常よりも高い位置より起始していた.大動脈弁のUCGでは収縮期に左冠尖エコーと無冠尖エコーとの間に弁エコーと同様な動き,幅を示すもう一本のエコーが認められた.これは大動脈四尖弁のUCG所見について報告した最初のものと思われる. 大動脈四尖弁はきわめてまれな先天性疾患であり,われわれが調べえた範囲ではこれまでに内外で28例の報告をみるのみである報告例の多くは剖検などにより偶然発見されたものであるが,最近は大動脈造影による診断例も増加してきている.それでそれらの症例についての集計をも併せて検討した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.10.9_949