塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)製剤を用いた歯周組織再生療法の臨床評価と再生予測因子の検討

目的:歯周治療の基本は原因となるプラークの除去による炎症の改善であるが,条件が揃えば歯周組織再生療法によって失われた歯周組織の再生が可能である.2016年12月に,国内において塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)を有効成分とする新規歯周組織再生剤「リグロス」(科研製薬)が保険収載され,発売された.本研究では,福岡歯科大学医科歯科総合病院歯周病科におけるリグロスを用いた歯周組織再生療法の臨床パラメーターおよびX線写真での臨床成績の検討を行った. 対象と方法:福岡歯科大学医科歯科総合病院歯周病科において2017年1月から2018年9月にリグロスによる歯周組織再生療法を受けた患者のうち,術前と術後...

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Published in日本歯科保存学雑誌 Vol. 67; no. 3; pp. 139 - 146
Main Authors 大城, 希美子, 丸尾, 直樹, 土持, 那菜子, 坂上, 竜資, 大和, 寛明, 吉永, 泰周, 中上, 昌信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会 30.06.2024
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ISSN0387-2343
2188-0808
DOI10.11471/shikahozon.67.139

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Summary:目的:歯周治療の基本は原因となるプラークの除去による炎症の改善であるが,条件が揃えば歯周組織再生療法によって失われた歯周組織の再生が可能である.2016年12月に,国内において塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)を有効成分とする新規歯周組織再生剤「リグロス」(科研製薬)が保険収載され,発売された.本研究では,福岡歯科大学医科歯科総合病院歯周病科におけるリグロスを用いた歯周組織再生療法の臨床パラメーターおよびX線写真での臨床成績の検討を行った. 対象と方法:福岡歯科大学医科歯科総合病院歯周病科において2017年1月から2018年9月にリグロスによる歯周組織再生療法を受けた患者のうち,術前と術後6カ月経過時の臨床パラメーター,プロービングポケットデプス(PPD),臨床的アタッチメントレベル(CAL),およびプロービング時の出血とデンタルX線写真の比較が可能であった患者を対象に評価を行った. 成績:リグロス使用後6カ月において,術前と比較してPPD,CALの有意な改善を認めた(p<0.001).また,デンタルX線写真から骨欠損深さを算出した結果,6カ月後の骨欠損深さは術前と比較して有意な改善が認められた(p<0.001).さらに喫煙歴,術前PPD(p<0.01)および術前CAL(p<0.001)によって6カ月後のCAL獲得量に有意な差が認められた. 結論:本研究において,リグロスを用いた歯周組織再生療法は良好な結果を示した.またその効果には喫煙歴,術前PPDおよび術前CALが影響することが示唆された.
ISSN:0387-2343
2188-0808
DOI:10.11471/shikahozon.67.139