症例 心室中隔欠損兼肺動脈弁狭窄症の開心術後に起きた機械的溶血性貧血に対する再手術治験例

• Published in: 心臓 Vol. 8; no. 12; pp. 1229 - 1235
• Main Authors: 高, 錫健, 赤坂, 忠義, 大川, 恭矩, 高口, 直明, 研藤, 健二, 西畠, 信, 大野, 耕策, 飯塚, 敦夫, 長尾, 大
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 公益財団法人 日本心臓財団 1976
• Subjects: fragment red cell; Hancock valve; shear stress; 機械的溶血性貧血; 血流の乱れ
• ISSN: 0586-4488; 2186-3016
• DOI: 10.11281/shinzo1969.8.12_1229

心室中隔欠損兼肺動脈弁狭窄症の開心術後に発生した,高度の機械的溶血性貧血を再手術施行により治癒せしめた1例を報告する. 心室中隔欠損部のダクロンパッチ使用による閉鎖と肺動脈弁交連切開術後3週間で,肝炎症状発現と平行して高度な溶血性貧血が発生した.1日に0.3g/dl・0.5g/dlの割合で血中ヘモグロビン値の低下を示す重篤な溶血は,肝炎症状改善後も内科的治療に抵抗してつづいた.種々の検査の結果から機械的溶血と診断した.第1回手術後5ヵ月で,心室中隔欠損遺残短絡部閉鎖とHancock弁による肺動脈弁置換および肺動脈弁輪部拡大を行った.再手術後,溶血は消失し,患者は元気に退院した. 人工弁置換術や心内膜床欠損症の手術以外では比較的まれな開心術後の合併症である溶血性貧血を報告するとともに,若干の文献的考察を加えた.