研究 虚血性心疾患症例のsilentmyocardial ischemiaにおける血中キニン,プロスタノイド代謝とこれらに及ぼす塩酸diltiazemの影響
最近注目されている無症候性心筋虚血発作と, 疹痛物質とされているブラジキニン(BK)やプロスタノイド代謝との関係を検討し, これらに及ぼす塩酸diltiazemの影響を労作性狭心症例20例について調べた. 労作性狭心症例をCanadian Cardiovascular Society 3度にあたるGroup1(G1)6例と2度のGroup2(G2)14例に分け, 48時間ホルター心電図と運動負荷試験を施行し, 血中BK, thromboxaneB2(TXB2)および6KetoPGF1α(6KPGF1α)の値を測定し, 一部の症例に塩酸diltiazem1日90mgを2週間投与し, 塩酸dilt...
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Published in | 心臓 Vol. 23; no. 2; pp. 133 - 143 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
1991
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Subjects | |
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Summary: | 最近注目されている無症候性心筋虚血発作と, 疹痛物質とされているブラジキニン(BK)やプロスタノイド代謝との関係を検討し, これらに及ぼす塩酸diltiazemの影響を労作性狭心症例20例について調べた. 労作性狭心症例をCanadian Cardiovascular Society 3度にあたるGroup1(G1)6例と2度のGroup2(G2)14例に分け, 48時間ホルター心電図と運動負荷試験を施行し, 血中BK, thromboxaneB2(TXB2)および6KetoPGF1α(6KPGF1α)の値を測定し, 一部の症例に塩酸diltiazem1日90mgを2週間投与し, 塩酸diltiazemの影響を検討した. その結果, ホルター心電図において認められた無症候性心筋虚血発作頻度はG2に比べG1に高く(16.8±10.1回/48時間vs5.1±6.0, p<0.01), 運動耐容能はG1に低かった(308±102秒vs426±114, p<0.05).BKやTXB2/6KPGF1α と無症候性心筋虚血発作との間には相関係数r=0.56(p<0.05)およびr=0.36なる関係が認められた. 塩酸diltiazemはG2の運動耐容能を有意に改善し, 無症候性心筋虚血頻度やプロスタノイド代謝を改善する傾向が認められた. ホルター心電図において認められる無症候性心筋虚血発作においても通常の狭心発作と同様にBK, プロスタノイド代謝の異常が関与することが考えられ, BK, プロスタノイド代謝は日常生活における心筋虚血の程度に関与することが示唆された.また塩酸diltiazemはこれらを改善する傾向を有した. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.23.2_133 |