症例 不完全型心内膜床欠損,心室中隔欠損,肺動脈狭窄を合併した心奇形

一次中隔欠損に肺動脈狭窄と心室中隔欠損を合併した4歳男児の症例を,肺動脈狭窄を合併した完全型心内膜床欠損症と診断し手術を行った.右房側から房室弁直下を検索したが房室弁直下には心室中隔欠損は存在しなかったので,右室流出路を切開し右室側から検索すると上室稜直下に1.0×1.0cm径の心室中隔欠損を認め,右室側から心室中隔欠損をパッチ閉鎖した.右房側から僧帽弁前,尖の裂隙を縫合し一次中隔欠損をパッチ閉鎖した.右室流出路から肺動脈弁を越えて肺動脈まで流出路パッチを当てた.本症は完全型心内膜床欠損症ではなく一次中隔欠損に肺動脈狭窄と心室中隔膜様部前方欠損を合併したまれな症例であった.心房一次中隔欠損に心...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 20; no. 8; pp. 956 - 960
Main Authors 八代, 公夫, 渡辺, 龍彦, 石原, 昭, 守屋, 斗人, 冨永, 誠一, 半谷, 静雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1988
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.20.8_956

Cover

More Information
Summary:一次中隔欠損に肺動脈狭窄と心室中隔欠損を合併した4歳男児の症例を,肺動脈狭窄を合併した完全型心内膜床欠損症と診断し手術を行った.右房側から房室弁直下を検索したが房室弁直下には心室中隔欠損は存在しなかったので,右室流出路を切開し右室側から検索すると上室稜直下に1.0×1.0cm径の心室中隔欠損を認め,右室側から心室中隔欠損をパッチ閉鎖した.右房側から僧帽弁前,尖の裂隙を縫合し一次中隔欠損をパッチ閉鎖した.右室流出路から肺動脈弁を越えて肺動脈まで流出路パッチを当てた.本症は完全型心内膜床欠損症ではなく一次中隔欠損に肺動脈狭窄と心室中隔膜様部前方欠損を合併したまれな症例であった.心房一次中隔欠損に心室中隔欠損の合併例の報告は極めてまれであり,これらの合併を完全型心内膜床欠損症と術前診断して今まで間違うことはなかったが,今後は一次中隔欠損と心室中隔欠損および肺動脈狭窄が合併した際には膜様部心室中隔欠損と肺動脈狭窄を合併した不完全型心内膜床欠損症を鑑別すべき疾患の1つとして常に念頭に置かなけれぼならないことが示唆された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.20.8_956