研究 心臓血管カテーテル検査における肺塞栓について

心臓カテーテル検査に合併する肺塞栓症の発生頻度を99mTc-MAAによる肺血流スキャンニング(以下肺スキャン)により検討した. 対象は男30例,女13例の計43例で,年齢は平均50±12歳(14~73歳),基礎疾患は弁膜症13例,虚血性心疾患15例,正常冠動脈7例,その他8例である.全例両心カテーテル検査を右大腿動・静脈の経皮的穿刺法により行い,カテーテル挿入にはcatheter introducerを使用した.検査後,4時間は穿刺部に1kgの砂のうを用い,24時間安静にした. 検査前後で肺スキャン上新たに血流欠損を生じたのは10例(23%)で,うち多発性欠損は6例(14%)だった.血清酵素,...

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Published in心臓 Vol. 15; no. 4; pp. 405 - 408
Main Authors 井内, 和幸, 秋山, 真, 二谷, 立介, 杉本, 恒明, 金木, 英輔, 浦岡, 忠夫, 神保, 正樹, 寺田, 康人, 瀬戸, 光, 余川, 茂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1983
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.15.4_405

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Summary:心臓カテーテル検査に合併する肺塞栓症の発生頻度を99mTc-MAAによる肺血流スキャンニング(以下肺スキャン)により検討した. 対象は男30例,女13例の計43例で,年齢は平均50±12歳(14~73歳),基礎疾患は弁膜症13例,虚血性心疾患15例,正常冠動脈7例,その他8例である.全例両心カテーテル検査を右大腿動・静脈の経皮的穿刺法により行い,カテーテル挿入にはcatheter introducerを使用した.検査後,4時間は穿刺部に1kgの砂のうを用い,24時間安静にした. 検査前後で肺スキャン上新たに血流欠損を生じたのは10例(23%)で,うち多発性欠損は6例(14%)だった.血清酵素,心電図,胸部X線写真に変化はなかった. 1 例でカテーテル検査後ショックになり,肺スキャンで多発性欠損を認めた.欠損の有無は,基礎疾患,性差,検査時間と関係はなく,長時間の大腿部圧迫,安静臥床,catheter introducerやSwan-Ganzカテーテル使用等が原因として推察された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.15.4_405