症例 右側頸部大動脈弓と左冠動脈肺動脈瘻を伴ったPulmonary Atresia(withVSD)の1乳児剖検例
私達は最近,右側頸部大動脈弓と左冠動脈肺動脈瘻を伴ったPulmonary Atresia(with VSD)の1乳児剖検例を経験したが,本症は文献上初めての報告と思われるので臨床症状を中心に文献的考察を加えた. 症例は生後16日の男児.出生直後鎖肛に気付かれ,生後1日目に手術を受けたが,生後16日に顔面蒼白となり小児科入院となった.生後40日の心臓カテーテル検査で上記の診断を得たが,L→R shunt ratioは71%,大動脈のPO256mmHg,PCO238mmHgと肺血流は増加していた.検査終了後2-3時間後,突然心室細動となった.D.C.Shock(20watt/sec)で洞調律に復帰...
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Published in | 心臓 Vol. 12; no. 6; pp. 656 - 664 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
1980
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Subjects | |
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Summary: | 私達は最近,右側頸部大動脈弓と左冠動脈肺動脈瘻を伴ったPulmonary Atresia(with VSD)の1乳児剖検例を経験したが,本症は文献上初めての報告と思われるので臨床症状を中心に文献的考察を加えた. 症例は生後16日の男児.出生直後鎖肛に気付かれ,生後1日目に手術を受けたが,生後16日に顔面蒼白となり小児科入院となった.生後40日の心臓カテーテル検査で上記の診断を得たが,L→R shunt ratioは71%,大動脈のPO256mmHg,PCO238mmHgと肺血流は増加していた.検査終了後2-3時間後,突然心室細動となった.D.C.Shock(20watt/sec)で洞調律に復帰したが,再度心室細動となり再度D.C.Shockで洞調律に復帰した.しかし,心不全と呼吸不全が増悪し死亡した. 剖検にて,肺動脈血は左冠動脈肺動脈瘻を通ってのみ供給されており,また,拡張した気管支動脈が左右共下行大動脈から分枝し肺血流が増加していた.右側頸部大動脈弓分枝は,上行大動脈から左総頸動脈→ 右総頸動脈→大動脈弓の頂きから右鎖下動脈→下行大動脈から左鎖骨下動脈の順序であった. なお本邦では頸部大動脈弓は9例報告され,本症例は本邦10例目に相当する.一方,冠動脈肺動脈瘻に重度の先天性弁膜疾患を伴う症例は内外あわせ文献上10例認められているにすぎず,本症例は11例目に属する.ただし,私達のような合併心奇形の報告は文献上初めてである. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo1969.12.6_656 |