5か所の多発腸重積を来した皮膚悪性黒色腫小腸転移の1例

症例は39歳の男性で,2011年に左上腕悪性黒色腫に対して腫瘍切除術を施行されており,肺・脳転移による再発に対してニボルマブにて治療されていた.2017年7月,腹痛を自覚し当院へ救急搬送された.身体所見に関しては右季肋部に圧痛を認めた.造影CTにて複数の小腸重積によるtarget signを認め緊急手術の方針とした.腹腔鏡下に観察したところ,小腸の数か所に褐色の小腫瘤と複数の小腸重積を認めた.視触診にて8か所の腫瘤と5か所の腸重積を認めた.腸重積は全て腫瘤を先進部とし,それぞれ腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した.病理組織診断にて腫瘍の異型細胞内にメラニン顆粒を認め,免疫染色検査にてS-100...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 54; no. 7; pp. 490 - 496
Main Authors 濱, 直樹, 宮崎, 道彦, 三宅, 正和, 宮本, 敦史, 平尾, 素宏, 西川, 和宏, 浜川, 卓也, 下山, 遼, 加藤, 健志, 加藤, 伸弥, 森, 清
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.07.2021
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.2020.0071

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Summary:症例は39歳の男性で,2011年に左上腕悪性黒色腫に対して腫瘍切除術を施行されており,肺・脳転移による再発に対してニボルマブにて治療されていた.2017年7月,腹痛を自覚し当院へ救急搬送された.身体所見に関しては右季肋部に圧痛を認めた.造影CTにて複数の小腸重積によるtarget signを認め緊急手術の方針とした.腹腔鏡下に観察したところ,小腸の数か所に褐色の小腫瘤と複数の小腸重積を認めた.視触診にて8か所の腫瘤と5か所の腸重積を認めた.腸重積は全て腫瘤を先進部とし,それぞれ腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した.病理組織診断にて腫瘍の異型細胞内にメラニン顆粒を認め,免疫染色検査にてS-100,Melan-A,HMB45染色がいずれも陽性であり,皮膚悪性黒色腫の小腸転移として矛盾のない所見であった.悪性黒色腫の小腸転移により同時性に5か所の多発腸重積を来した症例は非常にまれであり報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.2020.0071