HEART's Original [症例] ステロイドパルス療法が著効し心機能の改善を認めた心サルコイドーシスの1例

症例は80歳,女性.2001年(75歳),頸部リンパ節の生検でサルコイドーシスと診断された.同年11月,徐脈が生じた.心電図上,2:1房室ブロックを認めた.運動耐容能は極端に制限されていた.恒久的ペースメーカー植え込みの絶対適応と考えられ,ペースメーカー移植を受けた.ステロイド薬投与は見送られた.その後は心事故なく経過していた.2006年10月労作性呼吸困難が生じた.肺および全身のうっ血を認め,うっ血性心不全の診断で入院となった.心エコー上左室駆出率は27%で,下壁から中隔の基部に瘤状変化を認めた.うっ血性心不全は通常の内科的治療により容易に改善した.心筋生検で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,...

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Published in心臓 Vol. 40; no. 9; pp. 781 - 786
Main Authors 安藤, 洋志, 兼田, 吉紹, 松坂, 英徳, 池内, 雅樹, 桑田, 孝一, 松尾, 勇, 側島, 淳史, 山田, 明, 岡松, 秀一, 小山, 芳伸, 大屋, 正文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2008
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Summary:症例は80歳,女性.2001年(75歳),頸部リンパ節の生検でサルコイドーシスと診断された.同年11月,徐脈が生じた.心電図上,2:1房室ブロックを認めた.運動耐容能は極端に制限されていた.恒久的ペースメーカー植え込みの絶対適応と考えられ,ペースメーカー移植を受けた.ステロイド薬投与は見送られた.その後は心事故なく経過していた.2006年10月労作性呼吸困難が生じた.肺および全身のうっ血を認め,うっ血性心不全の診断で入院となった.心エコー上左室駆出率は27%で,下壁から中隔の基部に瘤状変化を認めた.うっ血性心不全は通常の内科的治療により容易に改善した.心筋生検で非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認め,活動性のサルコイド病変の存在が確認された.メチルプレドニゾロンによるパルス療法(500mg/日,3日間)を行った.ステロイド治療開始後,数週間で心機能は改善し利尿薬は不要となった.重度の左室収縮不全を呈した高齢の心サルコイドーシス患者で,ステロイドパルス療法が心機能改善に極めて有効であった症例を経験した.若干の文献的考察を加えここに報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.40.9_781