金沢市の肥満学童に関する研究 成長曲線を利用した解析

金沢市立小学校6年に在籍する児童で肥満度20%以上の者431人について, 過去6年間の身長, 体重から成長曲線を作図し, 肥満度の推移を解析した。 1) 対象児の身長の平均値は, 金沢市の平均値より男子では全学年において有意に高かった。 2) 成長曲線と肥満度から肥満の分類をした結果, 良性肥満 (A型) が41.5%, 悪性肥満 (B型) が58.3%, 症候性肥満 (C型) が0.2%であった。 3) 肥満度20%以上児の学年別出現割合は, 学年が進むとともに増加した。 4) 1年生ですでに肥満であった者は, 29.7%と高値であった。これらのうち, 6年間を通して肥満度20%以上の者は約...

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Published in栄養学雑誌 Vol. 54; no. 1; pp. 41 - 46
Main Authors 相坂, 国栄, 野坂, 一江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会 01.02.1996
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ISSN0021-5147
1883-7921
DOI10.5264/eiyogakuzashi.54.41

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Summary:金沢市立小学校6年に在籍する児童で肥満度20%以上の者431人について, 過去6年間の身長, 体重から成長曲線を作図し, 肥満度の推移を解析した。 1) 対象児の身長の平均値は, 金沢市の平均値より男子では全学年において有意に高かった。 2) 成長曲線と肥満度から肥満の分類をした結果, 良性肥満 (A型) が41.5%, 悪性肥満 (B型) が58.3%, 症候性肥満 (C型) が0.2%であった。 3) 肥満度20%以上児の学年別出現割合は, 学年が進むとともに増加した。 4) 1年生ですでに肥満であった者は, 29.7%と高値であった。これらのうち, 6年間を通して肥満度20%以上の者は約85%を占めた。 5) 各学年で初めて肥満度20%を越えた者を1つのグループとし, その肥満度の推移を検討したところ, 男女とも1年生で肥満度20%を越えていたグループが最も高値で推移した。 6) 以上の結果から, 肥満児の選定には成長曲線図も考慮することは有意義であった。また, 幼児期から継続して作図することで肥満傾向を早期に発見し, 指導を行うことが重要であることが本研究でも確かめられた。
ISSN:0021-5147
1883-7921
DOI:10.5264/eiyogakuzashi.54.41