Alzheimer 型痴呆と混合型痴呆における問題行動と認知機能障害との関係

痴呆に伴う問題行動と認知機能障害との関係を老人保健施設に入所中の Alzheimer 型痴呆 (DAT) 患者57名と混合型痴呆 (MIX) 患者31名を対象に検討した. DATの診断はDSM-III-Rに従い, MIXの診断はDSM-III-Rと Hachinski の虚血スコアーを参考にした. 認知機能は Mini-Mental State (MMS) で, 問題行動は Baumgarten らの Dementia Behavior Disturbance (DBD) スケールで評価した. DAT群では, MMSとDBD得点は有意に相関したのに対し, MIX群では両者は相関しなかった. M...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 31; no. 11; pp. 860 - 864
Main Authors 磯貝, 行秀, 栗田, 正, 栗田, 正文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 01.11.1994
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.31.860

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Summary:痴呆に伴う問題行動と認知機能障害との関係を老人保健施設に入所中の Alzheimer 型痴呆 (DAT) 患者57名と混合型痴呆 (MIX) 患者31名を対象に検討した. DATの診断はDSM-III-Rに従い, MIXの診断はDSM-III-Rと Hachinski の虚血スコアーを参考にした. 認知機能は Mini-Mental State (MMS) で, 問題行動は Baumgarten らの Dementia Behavior Disturbance (DBD) スケールで評価した. DAT群では, MMSとDBD得点は有意に相関したのに対し, MIX群では両者は相関しなかった. MMSが20点以上の認知機能障害の軽度な患者に対象を限定すると, DAT, MIX群のMMS平均得点は同等であるにも拘らず, DBD得点はMIX群のほうが高値であった. 以上のことから, DAT患者では問題行動は認知機能障害の進行に並行して出現, 増加することが示唆された. しかし, そこに脳血管性病変が重なると両者の障害は並行せず, 認知機能障害の軽い時点から問題行動が目立つ傾向にあると思われた.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.31.860