経肺熱希釈法による心拍出量測定下に循環管理を行った Fontan 循環患者に対する腹腔鏡手術 2 症例
Fontan 循環患者に対する腹腔鏡手術は,気腹や陽圧換気により静脈還流が阻害され,CO2 貯留に伴い肺血管抵抗が上昇するため,体心室前負荷の減少が危惧される。また,頭高位での手術では,下肢からの静脈還流が減少するので,Fontan 循環患者の前負荷減少を助長する可能性がある。 今回,我々は,Fontan 循環患者に対する腹腔鏡手術の麻酔管理を 2 例経験した。経肺熱希釈法による心拍出量測定が可能な PiCCO®カテーテル(PULSION Medical Systems SE, Germany)およびオキシメトリー CV カテーテル(PreSep®;Edwards Lifesciences,...
Saved in:
Published in | Cardiovascular Anesthesia Vol. 29; no. 1; pp. 191 - 196 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
01.09.2025
日本心臓血管麻酔学会 |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1342-9132 1884-7439 |
DOI | 10.11478/jscva.2025-3-003 |
Cover
Loading…
Summary: | Fontan 循環患者に対する腹腔鏡手術は,気腹や陽圧換気により静脈還流が阻害され,CO2 貯留に伴い肺血管抵抗が上昇するため,体心室前負荷の減少が危惧される。また,頭高位での手術では,下肢からの静脈還流が減少するので,Fontan 循環患者の前負荷減少を助長する可能性がある。 今回,我々は,Fontan 循環患者に対する腹腔鏡手術の麻酔管理を 2 例経験した。経肺熱希釈法による心拍出量測定が可能な PiCCO®カテーテル(PULSION Medical Systems SE, Germany)およびオキシメトリー CV カテーテル(PreSep®;Edwards Lifesciences, Irvine, CA, USA)を用いて,循環管理を行った。2 症例とも Fontan 循環のため,低心拍出量ではあったが,気腹が心拍出量や心係数,中心静脈血酸素飽和度に与える影響は軽微であった。いずれも,術後の疼痛は軽度で,合併症なく退院した。 良好な Fontan 循環患者に対し,気腹が心拍出量や中心静脈血酸素飽和度に与える影響は軽微であった。安定した Fontan 循環患者であれば,開腹手術を避けて,腹腔鏡手術を選択しても良いと考えられた。 |
---|---|
ISSN: | 1342-9132 1884-7439 |
DOI: | 10.11478/jscva.2025-3-003 |