Stanford A 型急性大動脈解離術後に残存する対麻痺に対し脳脊髄液ドレナージが有効であったと考えられた 1 例
急性大動脈解離に対麻痺を合併することは稀であり,その治療戦略に関していまだ不明な点が多く,臨床報告の蓄積が必要とされている。今回我々は,対麻痺と心タンポナーデを合併し,緊急手術を行った偽腔閉塞型 Stanford A 型急性大動脈解離の症例を経験した。本症例では上行大動脈置換術後,対麻痺症状が残存していたため,脊髄灌流圧を保つために脳脊髄液ドレナージを実施したところ,3 時間後には対麻痺の改善を認め,最終的には杖での自力歩行が可能な状態で退院した。大動脈解離術後も残存する対麻痺に対して脳脊髄液ドレナージが有効となる可能性が示唆された。...
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Published in | Cardiovascular Anesthesia Vol. 29; no. 1; pp. 123 - 129 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
01.09.2025
日本心臓血管麻酔学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1342-9132 1884-7439 |
DOI | 10.11478/jscva.2024-3-002 |
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Summary: | 急性大動脈解離に対麻痺を合併することは稀であり,その治療戦略に関していまだ不明な点が多く,臨床報告の蓄積が必要とされている。今回我々は,対麻痺と心タンポナーデを合併し,緊急手術を行った偽腔閉塞型 Stanford A 型急性大動脈解離の症例を経験した。本症例では上行大動脈置換術後,対麻痺症状が残存していたため,脊髄灌流圧を保つために脳脊髄液ドレナージを実施したところ,3 時間後には対麻痺の改善を認め,最終的には杖での自力歩行が可能な状態で退院した。大動脈解離術後も残存する対麻痺に対して脳脊髄液ドレナージが有効となる可能性が示唆された。 |
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ISSN: | 1342-9132 1884-7439 |
DOI: | 10.11478/jscva.2024-3-002 |