HIKESHIノックアウトヒト口腔扁平上皮がんHSC-3細胞の温熱感受性

HIKESHIは,熱ストレス負荷条件下におけるHSP70の核輸送キャリアタンパク質である.温熱感受性におけるHIKESHIの役割を明らかにする目的で,ゲノム編集技術を用いてHIKESHIノックアウト(KO)ヒト口腔扁平上皮がん(OSCC)HSC-3細胞株を樹立した.ウェスタンブロッティングとシーケンス解析により,HIKESHI KO-14(HIKO-14)細胞におけるHIKESHIのKOを確認した.HIKO-14細胞の細胞増殖は,HIKESHIワイルドタイプ(WT)HSC-3細胞と比較して有意に低下した.HIKO-14細胞では,42 ℃におけるHSP70の核内移行はWT細胞と比較して有意に低下...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inThermal Medicine Vol. 40; no. 3; pp. 17 - 29
Main Authors 渡辺, 志朗, 林, 篤志, 柚木, 達也, 田渕, 圭章, 平野, 哲史, 皆川, 沙月, 古澤, 之裕
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本ハイパーサーミア学会 15.09.2024
Online AccessGet full text
ISSN1882-2576
1882-3750
DOI10.3191/thermalmed.40.17

Cover

More Information
Summary:HIKESHIは,熱ストレス負荷条件下におけるHSP70の核輸送キャリアタンパク質である.温熱感受性におけるHIKESHIの役割を明らかにする目的で,ゲノム編集技術を用いてHIKESHIノックアウト(KO)ヒト口腔扁平上皮がん(OSCC)HSC-3細胞株を樹立した.ウェスタンブロッティングとシーケンス解析により,HIKESHI KO-14(HIKO-14)細胞におけるHIKESHIのKOを確認した.HIKO-14細胞の細胞増殖は,HIKESHIワイルドタイプ(WT)HSC-3細胞と比較して有意に低下した.HIKO-14細胞では,42 ℃におけるHSP70の核内移行はWT細胞と比較して有意に低下したが,この変化は44 ℃の温度条件下では観察されなかった.42 ℃において,HIKO-14細胞はWT細胞と比較して温熱感受性が有意に上昇したので,核に存在するHSP70は,温熱感受性の上昇に重要な役割を担っていると考えられる.しかしながら,44 ℃ではHIKO-14細胞おけるこの上昇は認められなかった.WT HSC-3細胞への42 ℃の熱ストレス負荷により,一過性のHSF1の活性化が観察された.一方,42 ℃温熱負荷HIKO-14細胞において,持続的なHSF1の活性化はHSP70の発現レベルを上昇させた.HIKO-14細胞において.HSP70の発現上昇は熱ストレスに対して細胞保護的に機能すると考えられる.以上,OSCC HSC-3細胞の42 ℃マイルドハイパーサーミア温度域においてHIKESHIの発現の減少はHSP70の核内移行を抑制し,また,温熱感受性を増強することが明らかとなった.
ISSN:1882-2576
1882-3750
DOI:10.3191/thermalmed.40.17