5 万分の1 地質図幅「大河原」地域に産する領家深成岩類及び変成岩類の全岩化学組成
5万分の1地質図幅「大河原」の作成にあたって識別した領家深成変成コンプレックスの岩体区分の地球化学的根拠を得るため,それらの全岩主成分・微量成分分析を実施した.先行研究によると,深成岩類の岩相的類似性から岩型ごとの識別が困難な場合や中間的な岩相の存在が指摘されていたが,本研究における産状や岩石記載に基づく岩型区分は,全岩化学組成の各種指標の組み合わせに基づく特徴によっても識別できることが明らかとなった.これらの全岩化学組成の特徴は,主として構成鉱物の量比に対応したものであるが,それらの違いは相互の単純な親子関係では説明できず,岩型ごとの個別の親マグマの存在を示唆する.さらに,予察的検討により約...
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Published in | 地質調査研究報告 Vol. 76; no. 1-2; pp. 101 - 131 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
11.06.2025
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ISSN | 1346-4272 2186-490X |
DOI | 10.9795/bullgsj.76.1-2_101 |
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Summary: | 5万分の1地質図幅「大河原」の作成にあたって識別した領家深成変成コンプレックスの岩体区分の地球化学的根拠を得るため,それらの全岩主成分・微量成分分析を実施した.先行研究によると,深成岩類の岩相的類似性から岩型ごとの識別が困難な場合や中間的な岩相の存在が指摘されていたが,本研究における産状や岩石記載に基づく岩型区分は,全岩化学組成の各種指標の組み合わせに基づく特徴によっても識別できることが明らかとなった.これらの全岩化学組成の特徴は,主として構成鉱物の量比に対応したものであるが,それらの違いは相互の単純な親子関係では説明できず,岩型ごとの個別の親マグマの存在を示唆する.さらに,予察的検討により約60 km離れた三河–東濃地方の明智地域に産する深成岩類とも類似した組成を示すことが確認され,野外での産状や岩石記載に全岩化学組成を組み合わせることによって,岩型の広域的な対比が可能であることが示唆される. |
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ISSN: | 1346-4272 2186-490X |
DOI: | 10.9795/bullgsj.76.1-2_101 |