ポリアクリロニトリル上に固定したグルコースイソメラーゼの調製とその酵素的性質

1)メチルイミデート塩酸塩を含んだポリアクリロニトリルを担体として用い,グルコースイソメラーゼを固定化した。結合酵素量およびその活性はpH8~9で酵素結合反応を行ったものが最大値を示した。また,60℃の酵素結合反応において結合酵素量は最大値を示し,30~50℃ で酵素結合反応を行ったものが高い活性を示した。また,もとのグルコースイソメラーゼに対する比活性は約44%であった。 2)固定化グルコースイソメラーゼの活性のpH依存性はもとの酵素と同様の傾向を示し,pH安定性はもとの酵素と比較して,酸性側およびアルカリ性側領域で低い値を示した。 3)固定化グルコースイソメラーゼの至適温度は,もとの酵素に...

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Published in澱粉科学 Vol. 23; no. 4; pp. 169 - 174
Main Authors 半田, 隆, 後藤, 純雄, 新藤, 徹, 今井, 和成
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本応用糖質科学会 1976
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Summary:1)メチルイミデート塩酸塩を含んだポリアクリロニトリルを担体として用い,グルコースイソメラーゼを固定化した。結合酵素量およびその活性はpH8~9で酵素結合反応を行ったものが最大値を示した。また,60℃の酵素結合反応において結合酵素量は最大値を示し,30~50℃ で酵素結合反応を行ったものが高い活性を示した。また,もとのグルコースイソメラーゼに対する比活性は約44%であった。 2)固定化グルコースイソメラーゼの活性のpH依存性はもとの酵素と同様の傾向を示し,pH安定性はもとの酵素と比較して,酸性側およびアルカリ性側領域で低い値を示した。 3)固定化グルコースイソメラーゼの至適温度は,もとの酵素に対してほとんど変化が認められなかった。しかし,みかけの活性化エネルギーは,固定化グルコースイソメラーゼの場合約20.1kca1/molであり,もとの酵素の場合約19.6kca1/mo1であった。また,熱安定性はもとの酵素と比べて低い値を示し,1時間の熱処理において,60℃ 付近以上の温度条件で残存活性が減少することがわかった。 4)反復使用に対する固定化グルコースイソメラーゼの活性の低下は,酵素の失活と酵素の脱離が主な原因であり,高温側での酵素反応においては酵素の失活の影響が大きいことがわかった。 本研究を行なうにあたり,御助言をいただいた農林省食品総合研究所の梅田圭司先生,川嶋浩二先生に感謝いたします。
ISSN:0021-5406
1884-488X
DOI:10.5458/jag1972.23.169