Embolic stroke of undetermined source(ESUS)の抗血栓療法を再考する

塞栓源不明の脳塞栓症(ESUS)患者において,直接型経口抗凝固薬(DOAC)と抗血小板薬(アスピリン)を比較した2件の大規模臨床試験(NAVIGATE ESUSとRE-SPECT ESUS)は,アスピリンを上回るDOACの脳卒中再発予防効果を証明できなかった.これらの結果は,ESUSの原因として,潜在性心房細動が主因とはいえず,動脈原性脳塞栓症がかなり多いことを示唆している.ESUSは抗凝固療法の適応がある病態と適応がない病態を可能な限り鑑別して治療方針を決定する必要がある.しかしながら,ESUSの多くは再発してもなお原因不明であり,より精力的な原因検索と新たなアプローチが必要となる.これらの...

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Published in脳卒中 Vol. 44; no. 2; pp. 119 - 126
Main Authors 内山, 真一郎, 平野, 照之, 豊田, 一則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2022
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Summary:塞栓源不明の脳塞栓症(ESUS)患者において,直接型経口抗凝固薬(DOAC)と抗血小板薬(アスピリン)を比較した2件の大規模臨床試験(NAVIGATE ESUSとRE-SPECT ESUS)は,アスピリンを上回るDOACの脳卒中再発予防効果を証明できなかった.これらの結果は,ESUSの原因として,潜在性心房細動が主因とはいえず,動脈原性脳塞栓症がかなり多いことを示唆している.ESUSは抗凝固療法の適応がある病態と適応がない病態を可能な限り鑑別して治療方針を決定する必要がある.しかしながら,ESUSの多くは再発してもなお原因不明であり,より精力的な原因検索と新たなアプローチが必要となる.これらの課題について,2件の大規模臨床試験の結果を考察するとともに,その後に行われた多くの二次解析から得られたエビデンスを紹介し,ESUSという概念の再構築と抗血栓療法の適応決定について私見と今後の展望を述べた.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10937