非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)発症前の体重・BMI変化についての検討

背景:脂肪肝は頻度の高い疾患である.そのうち,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)のなかには,肝硬変から肝がんを発症する症例もあり,注意が必要な疾患となっている.NAFLDは肥満と関連が深いとされているが,脂肪肝後の報告は多いものの,脂肪肝になるまでの体重の変化をみた報告はほとんどない.方法:当院の2008年から2016年までの9年間の人間ドック受診者のなかから,腹部超音波検査受診者のデータを抽出し,そのデータより2回以上連続で脂肪肝の指摘がなく,加えてその後2回連続して脂肪肝の指摘を受けた人のデータを調べ,NAFLDと思われる人を選別した.その215人の過去の体重変化を追跡調査した.結果...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in人間ドック (Ningen Dock) Vol. 34; no. 1; pp. 57 - 63
Main Authors 長尾, 敏彦, 和泉, 賢一, 小野, 恭裕, 岩坂, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本人間ドック学会 2019
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1880-1021
2186-5027
DOI10.11320/ningendock.34.57

Cover

More Information
Summary:背景:脂肪肝は頻度の高い疾患である.そのうち,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)のなかには,肝硬変から肝がんを発症する症例もあり,注意が必要な疾患となっている.NAFLDは肥満と関連が深いとされているが,脂肪肝後の報告は多いものの,脂肪肝になるまでの体重の変化をみた報告はほとんどない.方法:当院の2008年から2016年までの9年間の人間ドック受診者のなかから,腹部超音波検査受診者のデータを抽出し,そのデータより2回以上連続で脂肪肝の指摘がなく,加えてその後2回連続して脂肪肝の指摘を受けた人のデータを調べ,NAFLDと思われる人を選別した.その215人の過去の体重変化を追跡調査した.結果:215人の脂肪肝指摘時の平均BMIは24.5±2.6kg/m2であり,5年前より増加傾向にあった.過去7年間の体重の変化でみると,最もやせていた時点が超音波で指摘される5年前であり,その時点より平均すると約6.3%体重は上昇していた.結論:BMIが25kg/m2未満の状態から体重増加による脂肪肝のリスクが存在する可能性がある.約4~7%の体重増加は,脂肪肝のリスクになる可能性がある.しかし,症例が少なく,今後さらなる解析が必要である.
ISSN:1880-1021
2186-5027
DOI:10.11320/ningendock.34.57