呼吸器疾患に対する温泉療法最近20年間の入院症例の解析

三朝医療センターで呼吸器疾患の温泉療法が開始されて以来、すでに20年が経過した。この間には、いろいろの呼吸器疾患の頻度も、また入院症例の数もかなり変化してきた。今回は、この20年間に三朝医療センターへ入院した呼吸器疾患患者を対象に、5年間毎の4期に分けて、その変動を検討したので報告する。 この20年間に当医療センターへ入院した呼吸器疾患患者は1934例であった。そのうち、気管支喘息は1226例 (63.4%)、慢性閉塞性肺疾患 (COPD) は415例 (21.5%) であった。温泉療法を受けた喘息症例は1982-1986年の最初の5年間では57例であったが、1997-2001年の最後の5年間...

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Published in日本温泉気候物理医学会雑誌 Vol. 66; no. 2; pp. 99 - 107
Main Authors 光延, 文裕, 保崎, 泰弘, 芦田, 耕三, 柘野, 浩史, 岡本, 誠, 西田, 典教, 永田, 拓也, 高田, 眞吾, 横井, 正, 谷崎, 勝朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本温泉気候物理医学会 2003
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Summary:三朝医療センターで呼吸器疾患の温泉療法が開始されて以来、すでに20年が経過した。この間には、いろいろの呼吸器疾患の頻度も、また入院症例の数もかなり変化してきた。今回は、この20年間に三朝医療センターへ入院した呼吸器疾患患者を対象に、5年間毎の4期に分けて、その変動を検討したので報告する。 この20年間に当医療センターへ入院した呼吸器疾患患者は1934例であった。そのうち、気管支喘息は1226例 (63.4%)、慢性閉塞性肺疾患 (COPD) は415例 (21.5%) であった。温泉療法を受けた喘息症例は1982-1986年の最初の5年間では57例であったが、1997-2001年の最後の5年間では465例にまで増加傾向を示した。同様に、COPDでは1982-1986の5年間の26例から最近の5年間では227例まで増加した。ステロイド依存性重症難治性喘息 (SDIA) の頻度は、最初の5年間では68.4%とかなり高い値を示したが、最近5年間では29.0%とその頻度は低下する傾向が見られた。一方、COPDにおける肺気腫の頻度は、最初の5年間の19.2%から最近の5年間では76.7%と明らかな増加傾向を示した。また、60才以上の高齢者の喘息およびCOPDも増加する傾向が見られた。
ISSN:0029-0343
1884-3697
DOI:10.11390/onki1962.66.99