バルクフィルコンポジットレジンの重合収縮応力に関する研究

目的 : 光硬化型コンポジットレジン (以下, CR) 修復では重合収縮応力や照射深度の問題から, 深い窩洞には積層充塡が推奨されているが, 大型窩洞に対して一括充塡できるbulk-fill CRが開発され臨床応用されている. 今回, 多結晶化ガラスブロックを用いた視覚的評価, せん断接着試験ならびに硬化後の残存体積の測定を行い, C-factorの大きな窩洞におけるbulk-fill CRの重合収縮応力の影響について検討を行った. 材料と方法 : bulk-fill CRとしてBulk Base Hard (BH) とBeautifil Bulk Flow (BF) を, 従来型CRとしてG...

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Published in日本歯科保存学雑誌 Vol. 64; no. 1; pp. 39 - 49
Main Authors 山本, 一世, 小正, 玲子, 吉川, 一志, 岩﨑, 和恵, 岩田, 有弘, 保尾, 謙三, 竹内, 摂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会 2021
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ISSN0387-2343
2188-0808
DOI10.11471/shikahozon.64.39

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Summary:目的 : 光硬化型コンポジットレジン (以下, CR) 修復では重合収縮応力や照射深度の問題から, 深い窩洞には積層充塡が推奨されているが, 大型窩洞に対して一括充塡できるbulk-fill CRが開発され臨床応用されている. 今回, 多結晶化ガラスブロックを用いた視覚的評価, せん断接着試験ならびに硬化後の残存体積の測定を行い, C-factorの大きな窩洞におけるbulk-fill CRの重合収縮応力の影響について検討を行った. 材料と方法 : bulk-fill CRとしてBulk Base Hard (BH) とBeautifil Bulk Flow (BF) を, 従来型CRとしてGracefil Flow (GF) を, 接着システムとしてClearfil Mega Bond2 (MB) とCleafil Universal Bond Quick ER (ER) を用いた. 多結晶化ガラスブロックとして, Bioram-Mを使用した. MBで接着処理後, 各CRを充塡した群をMBH群, MBF群, MGF群とし, ERで接着処理後, 各CRを充塡した群をEBH群, EBF群, EGF群とした. Bioram-Mに直径4.5mm深さ4.0mmの円柱窩洞を形成し, 修復後, ギャップおよびクラックの発生状態を分類し, スコアリングを行った. また, ウシ歯前歯に象牙質平坦面を作製し, 修復後, 接着直後のせん断引張強さを測定した. 直径4.5mm, 高さ4.0mmのゴムリング治具を作製し, 暗室にて各CRを充塡し, 円柱試料を作製した. 硬化後すぐアセトンに浸漬し, CRの未重合部分の除去を行った. 各試料の残存体積を測定した. 結果 : 視覚的評価の結果, MBH・MBF群はMGF群と, EBH・EBF群はEGF群と比べて, ギャップやクラックの発生状態に有意な差が認められた (p<0.05). MGF・EGF群では窩底部にギャップが認められた. またMBF群の接着強さはMBH・MGF群より有意に高かった (p<0.05). EBF群とEGF群の接着強さはEBH群と比べて有意に高かった (p<0.05). BHとBFの残存体積はGFの残存体積よりも有意に大きかった (p<0.05) が, BHとBFの間に有意差は認められなかった. 結論 : bulk-fill CRを用いた一括充塡は深い窩洞における接着には有効であるが, C-factorの大きな窩洞においては重合収縮応力による不快事項が完全には解消せず, 充塡操作に留意する必要があることが示唆された.
ISSN:0387-2343
2188-0808
DOI:10.11471/shikahozon.64.39