潜在性脳虚血病変による認知機能障害(vascular cognitive impairment): 健常高齢者における検討

健常高齢者の潜在性脳虚血病変によって引き起こされる認知機能障害について概説した.潜在性脳梗塞と慢性腎臓病は遂行機能障害と関連があり,これは血管性認知障害(vascular cognitive impairment)としてとらえることができる.さらに,深部白質病変と短い教育歴がアパシーと相関し,アパシーは余暇の身体活動度と相関があった.低い身体活動度は認知症の危険因子であることが報告されており,我々の検討でも身体活動度低下とアルツハイマー病のバイオマーカーである海馬萎縮,記憶力低下に有意な関連があった.以上の結果から,高血圧など血管危険因子により潜在性脳病変と遂行機能障害を特徴とする血管性認知障...

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Published in脳卒中 Vol. 39; no. 6; pp. 460 - 464
Main Author 八尾, 博史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2017
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ISSN0912-0726
1883-1923
DOI10.3995/jstroke.10496

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Summary:健常高齢者の潜在性脳虚血病変によって引き起こされる認知機能障害について概説した.潜在性脳梗塞と慢性腎臓病は遂行機能障害と関連があり,これは血管性認知障害(vascular cognitive impairment)としてとらえることができる.さらに,深部白質病変と短い教育歴がアパシーと相関し,アパシーは余暇の身体活動度と相関があった.低い身体活動度は認知症の危険因子であることが報告されており,我々の検討でも身体活動度低下とアルツハイマー病のバイオマーカーである海馬萎縮,記憶力低下に有意な関連があった.以上の結果から,高血圧など血管危険因子により潜在性脳病変と遂行機能障害を特徴とする血管性認知障害が引き起こされ,さらにvascular depression としてのアパシーは身体活動度の低下を介して,アルツハイマー病への過程を促進させる可能性があるのではないかという仮説を提唱した.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.10496