乳癌組織のcyclooxygenase-2(COX-2)過剰発現はアポトーシスを抑制する

当院で手術した乳癌症例126例を用いてCOX-2の免疫組織染色を行い,その発現と臨床病理学的パラメーターとしての病期,組織型,Histological Grade(HG),エストロゲンレセプター(ER),プロゲステロンレセプター(PgR),およびアポトーシスとの相関を検討した.COX-2の発現は,染色の強度と面積により,無染色,弱染色,中等度染色,高度染色の4段階に分類した.中等度,高度染色例をCOX-2発現ありとすると,44%が陽性であった.COX-2はいずれの病期にも発現し,発癌の早期から関与している.組織型,HG,ER,PgR,や閉経によるCOX-2陽性の割合には有意な差はなかった.一方...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 69; no. 10; pp. 2447 - 2453
Main Authors 江渕, 正和, 佐藤, 栄吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2008
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.69.2447

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Summary:当院で手術した乳癌症例126例を用いてCOX-2の免疫組織染色を行い,その発現と臨床病理学的パラメーターとしての病期,組織型,Histological Grade(HG),エストロゲンレセプター(ER),プロゲステロンレセプター(PgR),およびアポトーシスとの相関を検討した.COX-2の発現は,染色の強度と面積により,無染色,弱染色,中等度染色,高度染色の4段階に分類した.中等度,高度染色例をCOX-2発現ありとすると,44%が陽性であった.COX-2はいずれの病期にも発現し,発癌の早期から関与している.組織型,HG,ER,PgR,や閉経によるCOX-2陽性の割合には有意な差はなかった.一方,COX-2の発現が増強するに従って,Apoptotic Index(AI)が有意に減少していた.基礎的実験同様,臨床的にもCOX-2の過剰発現が,アポトーシスを抑制している.COX-2の発現は乳癌の増殖に関与していると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.69.2447