日本の医薬品市場における広告の利益率への 効果分析

本稿は日本の医薬品市場について、広告が企業の売上高や営業利益、売上高当たりの利益率を増やす効果があるのかを検証する。医療用医薬品または一般用医薬品を生産する企業52 社の有価証券報告書のデータを用い、固定効果モデルを用いて推定を行った。この結果、医薬品市場において広告支出を増やすことにより売上高と営業利益を増やすことができるが、広告の弾力性を見ると効果の大きさは小さいことが分かった。ここで広告の性質を踏まえ、医療用医薬品と一般用医薬品を生産する企業のサブサンプルを用いて広告の効果を医薬品の種類ごとに推定した。このとき医療用医薬品を生産する企業について、売上高と営業利益に対して広告ストックは正で...

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Published in医療経済研究 Vol. 36; no. 2; p. 2024.12
Main Author 沢田, 拓哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 医療経済学会/医療経済研究機構 24.03.2025
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ISSN1340-895X
2759-4017
DOI10.24742/jjhep.2024.12

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Summary:本稿は日本の医薬品市場について、広告が企業の売上高や営業利益、売上高当たりの利益率を増やす効果があるのかを検証する。医療用医薬品または一般用医薬品を生産する企業52 社の有価証券報告書のデータを用い、固定効果モデルを用いて推定を行った。この結果、医薬品市場において広告支出を増やすことにより売上高と営業利益を増やすことができるが、広告の弾力性を見ると効果の大きさは小さいことが分かった。ここで広告の性質を踏まえ、医療用医薬品と一般用医薬品を生産する企業のサブサンプルを用いて広告の効果を医薬品の種類ごとに推定した。このとき医療用医薬品を生産する企業について、売上高と営業利益に対して広告ストックは正で有意な結果となった。一方、一般用医薬品を生産する企業の場合ではすべての被説明変数に対して広告ストックは正だが有意でない結果が確認された。金額としては医薬品市場全体では広告支出を1 万円増やすことで売上高が9.26 万円、営業利益が3.92万円増えることが分かった。
ISSN:1340-895X
2759-4017
DOI:10.24742/jjhep.2024.12