第5–7胸髄損傷後の両下肢痙性(不随意運動)に対する,両側高周波熱凝固腰部神経根ブロックの施行経験
胸髄損傷後の両下肢痙性(不随意運動)に対して,高周波熱凝固(radiofrequency thermocoagulation)による神経根ブロック(RFTC root)が著効した症例を経験した.症例は13歳,女児.150 cm,38 kg.両下肢の不随意運動とそれに伴う両膝関節周囲痛(腱伸展時の痛み)を主訴に紹介受診となった.両下肢症状に対して対症療法的に,両アキレス腱切離術,両ハムストリングス腱切離術など複数回の手術歴があった.両下肢の不随意運動によるactivity of daily livingの著しい低下を認めており,本人と家族の強い希望があったために,不可逆的な神経変性を伴う治療であ...
Saved in:
Published in | 日本ペインクリニック学会誌 Vol. 27; no. 4; pp. 304 - 307 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
25.10.2020
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-4903 1884-1791 |
DOI | 10.11321/jjspc.20-0009 |
Cover
Summary: | 胸髄損傷後の両下肢痙性(不随意運動)に対して,高周波熱凝固(radiofrequency thermocoagulation)による神経根ブロック(RFTC root)が著効した症例を経験した.症例は13歳,女児.150 cm,38 kg.両下肢の不随意運動とそれに伴う両膝関節周囲痛(腱伸展時の痛み)を主訴に紹介受診となった.両下肢症状に対して対症療法的に,両アキレス腱切離術,両ハムストリングス腱切離術など複数回の手術歴があった.両下肢の不随意運動によるactivity of daily livingの著しい低下を認めており,本人と家族の強い希望があったために,不可逆的な神経変性を伴う治療である旨を事前に十分に説明したうえで,RFTC rootを計画した.伏臥位の保持が困難で,鎮静下での施術を強く希望したため,全身麻酔下に両側第2–4腰神経根RFTC root(おのおの90℃×180秒)を施行した.麻酔覚醒直後より両下肢の不随意運動とそれに伴う両膝関節周囲痛は消失し,登校が可能になるなど,通常の日常生活を取り戻しつつある. |
---|---|
ISSN: | 1340-4903 1884-1791 |
DOI: | 10.11321/jjspc.20-0009 |