当院の脳脊髄液減少症による硬膜下血腫の臨床的検討

脳脊髄液減少症に硬膜下血腫を合併することがある.我々は当院で経験した脳脊髄液減少症による硬膜下血腫7例について,年齢,性別,血腫が片側か両側か,血腫の最大径,外傷歴,発症から血腫形成までの期間,先行する腰椎穿刺の有無をまとめ,治療経過,転帰との関係を検討した.硬膜下血腫は7例中5例が両側性であった.内2例は保存的治療で改善なくブラッドパッチ(epidural blood patch: EBP)や血腫除去術を要し,いずれも両側性で最大血腫径が他の5例よりも大であった.硬膜下血腫が両側性で,血腫径が大きくなると外科的処置が必要となるため注意が必要である.また,3例は起立性頭痛が出現してから2カ月以...

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Published in脳卒中 Vol. 47; no. 4; pp. 229 - 234
Main Authors 藤田, 宗吾, 伊藤, 康男, 大田, 一路, 横山, 立, 川﨑, 一史, 光藤, 尚, 山元, 敏正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2025
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Summary:脳脊髄液減少症に硬膜下血腫を合併することがある.我々は当院で経験した脳脊髄液減少症による硬膜下血腫7例について,年齢,性別,血腫が片側か両側か,血腫の最大径,外傷歴,発症から血腫形成までの期間,先行する腰椎穿刺の有無をまとめ,治療経過,転帰との関係を検討した.硬膜下血腫は7例中5例が両側性であった.内2例は保存的治療で改善なくブラッドパッチ(epidural blood patch: EBP)や血腫除去術を要し,いずれも両側性で最大血腫径が他の5例よりも大であった.硬膜下血腫が両側性で,血腫径が大きくなると外科的処置が必要となるため注意が必要である.また,3例は起立性頭痛が出現してから2カ月以上経過してから硬膜下血腫を来しており,経過良好な脳脊髄液減少症においても少なくとも発症後数カ月は硬膜下血腫を来していないか経過観察が必要である.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11307