ガラス片による穿通性頸部外傷の1例

頸部には重要臓器が密集しており,損傷により致死的状態に陥ることがある。今回,出血性ショックに至ったガラス片による穿通性頸部外傷症例を経験した。症例は47歳男性,脚立から転落しガラス戸で頸部を受傷し救急搬送された。画像検査で,両側頸動静脈近傍にガラス片と思われる異物を確認し,摘出術を施行した。術中に内頸静脈からの活動性出血を認め,損傷部位を縫合し止血した。穿通性頸部外傷例では,見た目以上に深部損傷が重篤である可能性がある。また異物埋入の可能性も念頭に置き画像検査を行い,異物摘出を試みる際は事前の画像検査により異物の大きさ,局在,周辺臓器損傷の有無を把握する必要がある。...

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Published in頭頸部外科 Vol. 31; no. 3; pp. 263 - 266
Main Authors 関, 正大, 深堀, 光緒子, 小野, 剛治, 末吉, 慎太郎, 梅野, 博仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会 2021
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Summary:頸部には重要臓器が密集しており,損傷により致死的状態に陥ることがある。今回,出血性ショックに至ったガラス片による穿通性頸部外傷症例を経験した。症例は47歳男性,脚立から転落しガラス戸で頸部を受傷し救急搬送された。画像検査で,両側頸動静脈近傍にガラス片と思われる異物を確認し,摘出術を施行した。術中に内頸静脈からの活動性出血を認め,損傷部位を縫合し止血した。穿通性頸部外傷例では,見た目以上に深部損傷が重篤である可能性がある。また異物埋入の可能性も念頭に置き画像検査を行い,異物摘出を試みる際は事前の画像検査により異物の大きさ,局在,周辺臓器損傷の有無を把握する必要がある。
ISSN:1349-581X
1884-474X
DOI:10.5106/jjshns.21-007