臨床 急性心筋梗塞症における心臓破裂

急性心筋梗塞症の心臓破裂の合併は相対的に増加傾向にあり,その予知,診断,治療が注目されている.当科CCUに入院した急性心筋梗塞306例中剖検により確認された自由壁の破裂は13例(42%)で,急性期死亡例の19.4%にあたる.この破裂例について,その特徴を非破裂例と対比検討した.年齢は60歳以上に多く,性別では男6例,女7例であるが,発生頻度は男2.7%,女9.5%で女性に多い.既往に高血圧症を有するものが多く,心筋梗塞,狭心症の既往のある例は少ない.心電図上の梗塞部位はすべて広範な梗塞である.発症より入院するまでの期間に安静を保たない例で破裂の発生は高く,特に女性ではその傾向が強い.合併症では...

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Published in心臓 Vol. 13; no. 1; pp. 16 - 24
Main Authors 小島, 喜久子, 藤巻, 忠夫, 荏原, 包臣, 篠原, 文雄, 塩原, 保彦, 小林, 正樹, 五十嵐, 寛, 新谷, 博一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1981
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Summary:急性心筋梗塞症の心臓破裂の合併は相対的に増加傾向にあり,その予知,診断,治療が注目されている.当科CCUに入院した急性心筋梗塞306例中剖検により確認された自由壁の破裂は13例(42%)で,急性期死亡例の19.4%にあたる.この破裂例について,その特徴を非破裂例と対比検討した.年齢は60歳以上に多く,性別では男6例,女7例であるが,発生頻度は男2.7%,女9.5%で女性に多い.既往に高血圧症を有するものが多く,心筋梗塞,狭心症の既往のある例は少ない.心電図上の梗塞部位はすべて広範な梗塞である.発症より入院するまでの期間に安静を保たない例で破裂の発生は高く,特に女性ではその傾向が強い.合併症では発症後高血圧の持続するものが多く,ショック例は少なく,中等度以上の心不全を有するものが多かった.病理学的検索では非破裂に比し心重量は軽く,左室前壁の破裂が多く,一枝狭窄型のものが多かった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.13.1_16