一時的経静脈ペーシングと持続的腎代替療法を必要としたポリファーマシーが 原因と考えられたBRASH症候群の一例
BRASH症候群は徐脈、腎機能障害、房室伝導障害、ショック、高カリウム血症が相互に関与して進行する症候群であり、2016年に初めて報告された。症例は70代の男性。慢性腎臓病 (Stage G4) 、2型糖尿病、高血圧などの併存疾患があり、β1選択的アドレナリン受容体遮断薬やジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬をはじめとした複数の薬剤を常用していた。来院時は徐脈、ショックの状態に加え、慢性腎不全急性増悪、高カリウム血症を呈していた。高カリウム血症の程度に比して高度の徐脈を呈しており、テント状T波といった高カリウム血症に典型的な心電図変化は見られなかったことからBRASH症候群と診断した。気管挿管、...
Saved in:
Published in | 日本救急医学会関東地方会雑誌 Vol. 46; no. 3; pp. 205 - 209 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本救急医学会関東地方会
30.06.2025
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
Cover
Loading…
Summary: | BRASH症候群は徐脈、腎機能障害、房室伝導障害、ショック、高カリウム血症が相互に関与して進行する症候群であり、2016年に初めて報告された。症例は70代の男性。慢性腎臓病 (Stage G4) 、2型糖尿病、高血圧などの併存疾患があり、β1選択的アドレナリン受容体遮断薬やジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬をはじめとした複数の薬剤を常用していた。来院時は徐脈、ショックの状態に加え、慢性腎不全急性増悪、高カリウム血症を呈していた。高カリウム血症の程度に比して高度の徐脈を呈しており、テント状T波といった高カリウム血症に典型的な心電図変化は見られなかったことからBRASH症候群と診断した。気管挿管、一時的経静脈ペーシングや持続的腎代替療法などを行い、第7病日にICUから退室した。ポリファーマシーがBRASH症候群の発症要因となり得ることが示唆され、高齢化社会において併存疾患が増加していく中、BRASH症候群の認識とその予防が今後の医療現場で重要となる。 |
---|---|
ISSN: | 0287-301X 2434-2580 |
DOI: | 10.24697/jaamkanto.46.3_205 |