慢性肺疾患患者におけるα1遮断薬長期投与による右室重量および左室重量に及ぼす影響
当科外来通院中の臨床上安定期にある高血圧合併慢性肺疾患CPD患者24例 (男18例, 女6例, 68.3±9.4歳) を対象としてα1選択的受容体遮断薬・ドキサゾシン (Dox) の1年間投与による右室重量RV mass, 左室重量LV mass, 動脈血ガスへの影響につき検討した. 収縮期血圧は有意に低下し (159±15.2 vs 125.8±14.1mmHg, p<0.05, n=24.), 心エコーによるLV mass index は有意に減少した (101,0±13.4 vs 97.6±11.8gm-2, p<0.05, n=24.). 又, RV mass を示す指標として, タリ...
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Published in | 日本胸部疾患学会雑誌 Vol. 35; no. 1; pp. 30 - 37 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English |
Published |
社団法人 日本呼吸器学会
1997
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Subjects | |
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Summary: | 当科外来通院中の臨床上安定期にある高血圧合併慢性肺疾患CPD患者24例 (男18例, 女6例, 68.3±9.4歳) を対象としてα1選択的受容体遮断薬・ドキサゾシン (Dox) の1年間投与による右室重量RV mass, 左室重量LV mass, 動脈血ガスへの影響につき検討した. 収縮期血圧は有意に低下し (159±15.2 vs 125.8±14.1mmHg, p<0.05, n=24.), 心エコーによるLV mass index は有意に減少した (101,0±13.4 vs 97.6±11.8gm-2, p<0.05, n=24.). 又, RV mass を示す指標として, タリウムスコア・RV/LV count と心エコー法により求めたLV mass index を乗じてRV massindex を求めた. これは1年後有意に増加した (42.9±31.2 vs 53.6±30.5gm-2, p<0.05, n=8.). 肺機能検査では肺活量の悪化をみたが (2.17±1.95 vs 1.95±0.57l, p<0.05, n=24.). PaO2を改善させた (77.3±17.2 vs 82.2±2.4mmHg, p<0.05, n=24.). 以上よりDoxは高血圧合併のCPDに対しては肺において血圧ガス交換能に悪影響を及ぼさない左室退縮・降圧効果を有する薬剤と思われた. しかし, RVHの進展を示唆する結果が得られ, これは本疾患患者でのKLVH発生と異なるRVH発生メカニズムの複雑性を示唆するとともに肺の悪化による右心の仕事量の増大がDoxの効果を凌駕した可能性が考えられた. |
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ISSN: | 0301-1542 1883-471X |
DOI: | 10.11389/jjrs1963.35.30 |