研究 妊娠中に完全房室ブロックが出現した修正大血管転位症の1例

症例は31歳,女性.主訴は労作時息切れと徐脈.生後1カ月時に修正大血管転位症の診断を受け,4歳で心室中隔欠損閉鎖術を施行された.以後順調に発育し無症状で経過した.平成9年9月2日妊娠8週時にII度房室ブロックを指摘されたが,妊娠継続可能と判断された.妊娠6カ月頃より労作時息切れが出現し,心電図では高度房室ブロックとなっていた. しかし,その後も失神発作や心不全症状はなく妊娠を継続し,帰省出産のため平成10年3月2日(妊娠34週時)当院を初診した.初診時心電図は心室レート41/分の完全房室ブロックであった.心エコーでは左右心室の逆位と大血管の転位,動脈管開存症によるシャント血流を認めた. 胎児の...

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Published in心臓 Vol. 32; no. 1; pp. 39 - 44
Main Authors 濱田, 勇, 美田, 晃章, 向, 博也, 田中, 繁道, 塙, なぎさ, 佐藤, 力, 廣上, 貢, 松田, 勝浩, 武田, 宏一郎, 高田, 珠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2000
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.32.1_39

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Summary:症例は31歳,女性.主訴は労作時息切れと徐脈.生後1カ月時に修正大血管転位症の診断を受け,4歳で心室中隔欠損閉鎖術を施行された.以後順調に発育し無症状で経過した.平成9年9月2日妊娠8週時にII度房室ブロックを指摘されたが,妊娠継続可能と判断された.妊娠6カ月頃より労作時息切れが出現し,心電図では高度房室ブロックとなっていた. しかし,その後も失神発作や心不全症状はなく妊娠を継続し,帰省出産のため平成10年3月2日(妊娠34週時)当院を初診した.初診時心電図は心室レート41/分の完全房室ブロックであった.心エコーでは左右心室の逆位と大血管の転位,動脈管開存症によるシャント血流を認めた. 胎児の発育は順調であったため,3月24日一時的ペーシングのもと腰椎麻酔下に腹式帝王切開術を行った.術中ペーシングレートを100/分に維持することで,血行動態は安定し無事出産に成功した. 出産後も完全房室ブロックが持続し,体動時の心拍数の増加が不十分であったため,VDDR型体内式ペースメーカーの植込みを行った.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.32.1_39