トファシチニブ内服中の寛解期潰瘍性大腸炎患者に生じ血栓回収療法を施行した内頚動脈閉塞症の1例

潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis: UC)は慢性炎症性腸疾患であり,腸管外合併症として血栓症を伴うことが知られている.一般に,血栓症はUCの活動期に発生しやすいとされるが,寛解期の血栓形成機序は明らかではない.我々は,トファシチニブ内服中のUC患者に生じた内頚動脈閉塞に対し,血栓回収療法を施行し良好な転帰を得た.本症例ではUCが寛解状態にあり,腹部症状や炎症所見は認めなかった.UCの合併症としての血栓形成に加え,Janus kinase(JAK)阻害薬であるトファシチニブの使用が血栓リスクに関与した可能性が示唆される.本報告はUC患者の血栓症リスク評価や治療戦略の重要性を再認...

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Published in脳卒中 Vol. 47; no. 4; pp. 269 - 274
Main Authors 伊藤, 裕平, 鈴木, 啓友, 小祝, 萌, 市川, 剛, 鈴木, 恭一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中学会 2025
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Summary:潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis: UC)は慢性炎症性腸疾患であり,腸管外合併症として血栓症を伴うことが知られている.一般に,血栓症はUCの活動期に発生しやすいとされるが,寛解期の血栓形成機序は明らかではない.我々は,トファシチニブ内服中のUC患者に生じた内頚動脈閉塞に対し,血栓回収療法を施行し良好な転帰を得た.本症例ではUCが寛解状態にあり,腹部症状や炎症所見は認めなかった.UCの合併症としての血栓形成に加え,Janus kinase(JAK)阻害薬であるトファシチニブの使用が血栓リスクに関与した可能性が示唆される.本報告はUC患者の血栓症リスク評価や治療戦略の重要性を再認識させるものである.
ISSN:0912-0726
1883-1923
DOI:10.3995/jstroke.11314